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【特集】藤井知明氏【トランプ・ラリー“再始動”いつ?】(2) <相場観特集>

藤井知明氏(高木証券 企業調査部長)

―伊国民投票否決で再びリスクオフ、識者に聞く年末相場の行方―

 週明け5日の東京株式市場では“トランプ・ラリー”による上昇相場が一服、利益確定売りに押される展開となった。イタリアの憲法改正の是非を問う国民投票で改憲反対派が勝利し、レンツィ首相の辞意表明で足もとリスクオフモードとなっているが、これが尾を引くかたちになるのかどうか。佳境入りとなる年末相場の動向について、市場第一線で活躍する証券関係者のプロの視点を紹介する。

●「基調強く年末・年始高に期待」

藤井知明氏(高木証券 企業調査部長)

 足もとの株高の基調は強く、年末・年始高が期待できるだろう。直近の日経平均採用企業の平均1株当たり利益(EPS)は1166円。ただ、円安が進んだことで、EPSは1200円前後まで上振れが想定できるだろう。これをPER16倍まで買うとして、新年1月初旬までを視野に入れた今後1ヵ月程度のレンジでの日経平均株価は、1万9200円前後まで上昇が期待できるとみている。

 米大統領選でトランプ氏が勝利したことが、株価上昇のきっかけとなった。トランプ氏には、ネガティブイメージが強かったが、大統領選勝利とともに減税やインフラ投資を前向きにとらえポジティブ評価に変わった。

 米国の株高とともに、長期金利の上昇がドル高・円安をもたらし、日本株を含めたリスクオン相場を呼び込んだ。

 特に、これまで債券に回っていた資金が株式に向かい始めたことは大きい。日本株に対しては外国人投資家も積極的に買い始めている。NYダウは最高値圏にあるが、ドル建ての日経平均は高値もみ合いで出遅れ感がある。円安が進行していることでドルベースでみた日本株には割安感も出ているだろう。

 当面は総花的な物色が期待できるとみており、金融株や輸出株、業績好調な内需株などは活躍が見込める。輸出関連株では、村田製作所 <6981> 、TDK <6762> など電子部品株、それにクリスマスを控えゲーム関連のソニー <6758> などが期待できそうだ。

 内需関連では明治ホールディングス <2269> や森永製菓 <2201> に注目したい。また、ロゼッタ <6182> [東証M]やチエル <3933> [JQ]、フロイント産業 <6312> [JQ]といった中小型株も活躍が期待できそうだ。

(聞き手・岡里英幸)

<プロフィール>(ふじい・ともあき)
高木証券企業調査部長。1985年日栄証券(現SBI証券)入社。88年から企業調査業務を務める。その後、モーニングスターを経て2014年高木証券に入社。現在に至る。

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