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【特集】「イタリア国民投票否決、漂流するユーロの行方」上田ハーロー・山内俊哉執行役員に聞く!<直撃Q&A>

山内俊哉氏(上田ハーロー 執行役員)
 イタリアが4日実施した憲法改正の是非を問う国民投票は否決され、レンツィ首相は辞任する意向を表明した。この結果を受け、ユーロは対ドルで一時1ユーロ=1.0505ドルと15年3月以来の安値圏に売られた。今回のイタリア国民投票否決の影響をどう見れば良いのか。イタリアのユーロ離脱の可能性も囁かれるなか、漂流するユーロの行方について、上田ハーローの山内俊哉執行役員に聞いた。

Q1 イタリアの国民投票による憲法改正否決の動きをどうみていますか?

山内 国民投票での否決という結果は、予想通りだった。この点が市場の予想を覆したBrexit(英国のEU離脱)や米大統領選とは違う。オーストリアの大統領選挙では極右政党は敗北した。そのなかで、リスクオフの動きが強まり、円が一時112円80銭まで買われたことは予想外だった。円は過剰に買われたという印象だ。

Q2 今回の動きがイタリアの反EU(欧州連合)勢力を活気づけ、ひいてはユーロ離脱につながる懸念はありませんか?

山内 イタリアは、早ければ来年にも総選挙となる可能性もある。しかし、イタリアでは議会の解散権は大統領が持っている。準備期間を考慮しても、総選挙ができるのは来年後半で、実際には18年の任期満了まで行なわれないのではないか。イタリアでは「五つ星運動」や「フォルツァ・イタリア」「北部同盟」といった政党が反EUを掲げている。今後、これらの政党がどこまで勢力を伸ばしてくるかがポイントになる。多額の不良債権を抱えるイタリアの銀行をどう救済するかも、注目しておく必要がある。

Q3 新年に向けてユーロや円の動きをどう予想しますか?

山内 イタリアに加え、来年3月にオランダの議会選、来年4~5月にフランス大統領選挙などが予定されている。欧州中央銀行(ECB)の金融政策には手詰まり感が出ており、マイナス金利政策の深掘りなどは難しい。こうしたなか、どうしても政治に目は向くが、政治面からはユーロは買えない。オランダでは、極右政党の自由党がEU離脱を掲げ勢力を伸ばしている。来年3月頃に向けてユーロは1ユーロ=1ドルのパリティ(等価)を目指す可能性があるとみている。対円では1ユーロ=115円前後を想定している。

(聞き手・岡里英幸)

<プロフィール>(やまうち・としや)
上田ハーロー、執行役員・マーケット企画部長。1985年 商品先物会社入社。コンプライアンス、企画・調査などを経て1998年4月の「外為法」改正をうけ外国為替証拠金取引の立ち上げを行う。2005年7月 上田ハーロー入社。前職の経験を生かし、個人投資家の視点でブログなどへ各種情報の発信やセミナー講師に従事。日経CNBC「朝エクスプレス」為替電話リポートに出演のほか、金融情報サイトなどへの情報提供などでも活躍している。

出所:株経ONLINE(株式会社みんかぶ)

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