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【特集】大塚竜太氏【トランプ・ラリー“再始動”いつ?】(1) <相場観特集>

大塚竜太氏(東洋証券 ストラテジスト)

―伊国民投票否決で再びリスクオフ、識者に聞く年末相場の行方―

 週明け5日の東京株式市場では“トランプ・ラリー”による上昇相場が一服、利益確定売りに押される展開となった。イタリアの憲法改正の是非を問う国民投票で改憲反対派が勝利し、レンツィ首相の辞意表明で足もとリスクオフモードとなっているが、これが尾を引くかたちになるのかどうか。佳境入りとなる年末相場の動向について、市場第一線で活躍する証券関係者のプロの視点を紹介する。

●「押し目形成場面は買い下がるチャンス」

大塚竜太氏(東洋証券 ストラテジスト)

 イタリアの国民投票の結果は事前に織り込みが進んでいたこともあり、ネガティブサプライズの要素には乏しいが、目先的には利益確定の動きが出やすいタイミングだったこともあって、日経平均株価は下押す展開を余儀なくされた。前週末に調整したとはいえ押し目も浅く、日経平均は依然として短期的には過熱感がある。したがって、きょうあたりは海外ヘッジファンド筋など売り仕掛けを画策する動きがあったとしてもおかしくはない。

 しかし、その割に全体の地合いはしっかりしていた。外国為替市場では対ユーロではさすがに円高となったものの、対ドルでは円買いが進むこともなく、リスク回避ムードを煽る環境にはないことを証明した。イタリアの国民投票の結果は事前に織り込まれていた部分もあり、日米株市場に与える実際の影響も軽微となろう。短期的な値動きに狼狽する必要はなく、外国人投資家の買い転換を背景に日本株は大局的に強気優勢の地合いが続く。目先、欧州株市場に追随して下げるような場面はチャンスとみて押し目買いで対処するのが得策といえる。

 企業の業績回復をベースとした復権相場はまだ初動段階で、11月第2週以降に本格的な日本株買い攻勢に動き出した外国人投資家が、今月に入っていきなり売り転換することは考えにくい。また、日銀のETF買いなどの支えもあり、日経平均の下値については限定的だ。ユーロや欧州株の下落などリスクオフの流れが想定よりやや強まった場合でも1万7700円前後が下値メドとなろう。トヨタ自動車 <7203> など輸出主力株の押し目買いや、内需なら三菱UFJフィナンシャル・グループ <8306> などメガバンクの下値を拾うのが有力とみている。

 いずれにしても年末にかけて全般は切り返し、日経平均1万9000円台半ばくらいまでの上値があって全く不思議はない。中長期的にみてもトランプ大統領就任後のハネムーン期間を考慮して、来年のゴールデンウイーク前後までは基本的に“政策期待”を底流とした強調相場を予想している。

(聞き手・中村潤一)

<プロフィール>(おおつか・りゅうた)
1986年岡三証券に入社(株式部)。88~98年日本投信で株式ファンドマネージャーを務める。2000年から東洋証券に入社し現在に至る。

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