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【特集】日本調剤 Research Memo(5):つくば第二工場建設が本格化、生産能力を現行の3倍に

日本調剤 <日足> 「株探」多機能チャートより

■各事業セグメント別動向

(2)医薬品製造販売事業

医薬品製造販売事業において弊社が現状注目している点は、設備増強の進捗だ。日本調剤<3341>は生産能力を現行の約3倍に増強することを目指して設備投資を行っている。その中心となるのは、つくば第二工場の建設だ。2016年6月の地鎮祭についで、10月下旬には立柱式が行われ、いよいよ建屋の建築がスタートした状況にある。

同社の生産能力増強については、業界他社も能力増強を行うなかで過剰設備となることを懸念する向きもある。この点について同社代表取締役社長の三津原博(みつはらひろし)氏は決算説明会の席上、ジェネリック薬の製造は将来的に同社を含めた大手5社に集約されるとみていること、将来の制度改定においてジェネリック薬の使用が義務化されると予想されること、同社の製造品目数を現在の599品目(2016年9月末時点)から将来的には1,000品目に拡大することを目指すこと、などを理由に、過剰設備の懸念は当たらないという見解を示した。また、将来的には注射薬の生産も視野に入れていることも示唆した。

弊社では、三津原社長の見解には説得力があると考えているが、一方で、足元で起こっているジェネリック医薬品の価格競争の激化については注意が必要だと考えている。価格競争の問題は今第2四半期において医薬品製造販売事業セグメントが増収ながら減益となった直接的な原因でもある。つくば第二工場完成後の同社グループは、古い設備を擁する他社に比べて、価格競争では不利な立場におかれることになる。こうした不利を少しでも吸収するためには順調な工場の建設と竣工後の高稼働率が必要になってくる。その意味でも、つくば第二工場の建設の進捗は、ジェネリック薬品市場の動向と合わせて大きな注目点と言える。

同社は調剤薬局事業において調剤薬局544店舗(2016年9月末現在)という強力な販売網を有している。この点が他のジェネリック医薬品メーカーと大きく異なる点で、同社の強みと言える。設備投資直後の減価償却負担の重い時期を、自社販売網との連携強化によって乗り切ることは十分可能であると弊社ではみている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)

《HN》

 提供:フィスコ

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