市場ニュース

戻る
2016年11月30日13時35分

【経済】<トップインタビュー> ラクス 中村崇則代表取締役社長に聞く

中村崇則氏(ラクス 代表取締役社長)

―上場企業のトップ100社入り目指す―

●中村崇則氏(ラクス 代表取締役社長)

 日本の総人口が減少に転じたことで、労働人口の縮小もいっそう加速するなか、さまざまな業務の効率化は企業にとって喫緊の課題となっている。あらゆる業務のなかからメール対応、経費精算といった分野のクラウドサービスを提供しているのが、昨年12月に新規上場したラクス <3923> [東証M]だ。同社の注力サービス「楽楽精算」や、クラウドサービスの提供といったストック型のビジネスモデル、また独自の長期的な展望などを中村崇則社長に聞いた。

●「システムやクラウドといったITの力で、中小企業の可能性を100%発揮できるよう貢献したい」という発想の原点についてお教えください

中村 私が学生だった1990年代、もしくは会社を起ち上げた2000年代の日本は世界の中心の一部で、経済大国だったと認識しています。その頃から、日本の将来は人口が減少して少子高齢化社会になると言われていました。あわせて労働人口も減少していくなかで、日本が10年後、20年後も中心に居続けるためにはさまざまな業務を効率化しなくてはいけないだろうと思いました。日本の経済のほとんどは中小企業が支えており、そこの部分が強くならないと日本全体が強くなりません。そこで、私たちはITを使って中小企業を強くするという目標を掲げています。

●クラウド事業の特長について分かりやすくお教えください

中村 システム丸ごとを購入するか、その都度必要に合わせてサービスを借りるかという違いです。実際にシステムを開発すると莫大な費用がかかりますが、クラウドサービスだと月額数万円と安価で借りることができます。

●ラクスのサービスが、同業他社に比べて優れているポイントは

中村 多くの会社がサービスの適用範囲を広げようとしていますが、当社では目的に合わせて絞り込んだ開発を行い深く掘り下げることを意識しています。持っているリソースの量に対して、他社よりも優れたサービスを提供することが結果として強みに繋がっていくからです。機能の絞り込みは、お客様の意見を聞きながら判断していき、成長が見込まれる場合には、そこにリソースをかけていきます。最初から絶対に成功させるとは考えていなくて、試行錯誤しながら取り組んでいます。今後は、アライアンスやM&Aで提供システムを増加させていくことを視野に入れています。

●「メールディーラー」事業の現状と今後の展開について教えてください

中村 現状の主力事業です。たくさんメールで問い合わせがきたときに、多人数で効率よく同じクオリティーを保ちながら返信できるサービスで、今期の売上規模が1番大きい事業です。

―紙ベースからクラウドへ、「楽楽精算」導入2万社を目指す―

●「楽楽精算」事業の現状と今後の展開についてお聞かせください

中村 売り上げ規模は全体の2番手ですが、月次売上が昨年同期対比で7~8割の伸びを見せており、来期は逆転する見通しが立っています。1番の特徴は、経理部門の業務を楽にするということにフォーカスしています。2010年にリリースしてから、かゆいところに手が届くようなサービスに改善しているので、最近参入してきた競合には負けないと自負しています。また、導入社数が拡大すると、1社当たりの機能追加の開発費負担が軽減され、さらに優位性も保つことができます。

早期に月次100件の契約を目指し、それをベースにしていくと契約目標である5000社は3年程で達成できると見込んでいます。中長期的には2万社に導入し、「楽楽精算」だけの売上高で100億円を目指しています。当社のターゲットである社員50~1000人の中小企業は1次産業を除いて10万社あります。そのうちの7割はまだ紙などで経費精算を行っていますので、そのうちの2万社を獲得しに行こうという戦略で動いています。

●ナンバーワン戦略の優位性と、今後の成長期待分野(事業)について教えてください

中村 ナンバーワン戦略の優位性といった面では、異業種の他社と組みやすくなることが挙げられます。そのセグメントで1位であるということは、経営の武器になるからです。

現在、13年にリリースした「楽楽明細」といって、請求書を電子化するサービスを育成中です。また、今期に資本・業務提携を締結したR&ACの入金消し込みサービスについてもクラウド強化を支援していきたいと考えています。

●17年3月期第2四半期累計決算の内容と通期業績見通しについて

中村 第2四半期累計(4-9月)は広告宣伝費などがかさんで営業減益を見込んでいましたが、効果がないものはカットするなど効率化を高めたことで増益に転じました。私は「ライフ タイム バリュー(LTV=顧客生涯価値)」を重視していますが、テレビCM費用がLTVベースでペイできる可能性があるとわかりましたので、来期は再度テレビCMを行いたいと考えています。そして、実際にLTVベースでペイさせることができれば、さらにテレビCMを増加させていきたいと思います。

―時価総額1兆円を目指す―

●中期的な経営ビジョンについて教えてください

中村 中期計画はミスリードに繋がる可能性があることから出していません。現在、社内の3ヵ年計画は上振れしていますが、中期計画を掲げることで、投資家の期待値を下げてしまうことを避けるためです。

個人的な目標として、日本の上場企業のトップ100に入って日本を代表する企業を目指しています。現在100番目の企業が時価総額1兆円なのでそこを目標としています。10~15年くらいかかりそうですが、逆にそこまでいかなければ上場した意味がないと思っています。

●今後の株主還元策について具体的に教えてください

中村 私自身、株主優待を行っている企業より、配当金を出す企業、毎年増配している企業の株を持っていたいので、増配をしていきたいと考えています。当社のビジネスモデルはストック型であり、EPSは毎年伸びるので、継続的な増配が可能です。また、将来的には配当性向を20%まで高めたいと考えています。長期的に保有していただいて、インカムゲインとキャピタルゲインの両方を享受していただきたいと考えています。

●東証マザーズ市場に上場して以来この1年の感想。今後の抱負について

中村 楽しかったです。投資家の方からの評価がプラスでもマイナスでもやりがいに繋がっています。将来的には企業規模を大きくして、IT先進国であるアメリカに進出したいと考えています。

(聞き手・吉野さくら)

●中村崇則(なかむら・たかのり)
1973年生まれ43歳、1996年に神戸大学経営学部を卒業し日本電信電話株式会社(NTT)に入社。インターネット先進企業であったNTTで、電子メールに可能性を感じ、起業するも、競合が外資に買収されたことをきっかけに同社を楽天株式会社に売却。その後、クラウドサービスの可能性に着目し株式会社ラクスを設立。

●株式会社ラクス

株探ニュース

日経平均