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2016年11月26日20時00分

【特集】「5G」始動へ、“超高速”次世代通信規格が目指す世界 <株探トップ特集>

5Gの技術開発でリードするNTTドコモ

―活発化するサービス創出の動き、関連企業に見込まれる商機―

 東京オリンピック・パラリンピックが開催される2020年をターゲットに、新しい移動通信システム「5G」の商用化に向けた取り組みが加速してきた。3GPP(モバイル通信の技術を決める団体)などにおける標準化作業と平行して、さまざまな技術開発や実証実験が行われるなか、この次世代通信規格を活用したサービス創出の動きが活発化している。

●自動運転やIoTに必要不可欠な技術

 移動体通信はおよそ10年ごとに新しいシステムが誕生しており、2010年頃から普及し始めた4G「LTE」の後継として、5Gの研究開発が進んでいる。5Gの通信速度は毎秒10ギガ(ギガは10億)ビット超とLTEの100倍を超える「超高速」で、LTEの1000倍もの「超大容量」を持ち、無線区間の「低遅延化」、センサーネットワークなどにおける「多数同時接続」を実現できることが大きな特徴となっている。

 なかでも注目されるのが、 自動運転 IoTを支える「低遅延化」と「多数同時接続」。例えば、自動運転では車間距離を測るなどあらゆるデータを取得する必要があり、遅延が長いとブレーキの制御が遅れて事故につながりかねないといった事態が生じる。NTTドコモ <9437> 広報部では「命にかかわることでもあり、より検証を進める必要がある」としながらも、5Gが活用される分野として視野に入れている。また、膨大な数のデバイスがインターネットでつながるIoTでは「多数同時接続」が必要不可欠となる。加えて、IoTは小さなデータをやり取りするため、そもそも高速・大容量に適したLTEには向いていないといった側面もある。

●22年の5G契約数は5億5000万件に

 世界的に官民を挙げてIoTや自動運転の実現に向けた取り組みが進められる一方、5G通信規格を巡る開発競争も熱を帯びている。欧米はもとより、中国携帯大手の中国移動は6月に、20年までに5Gを実用化すると表明。10月には韓国サムスン電子が米国で「シリコンバレー5Gサミット」を開催した。スウェーデンの通信機器メーカーであるエリクソンは11月15日に発表したリポートの中で、「22年には5Gの契約件数が5億5000万件に達する」と予測しており、日本も14年9月に産学官連携による「第5世代モバイル推進フォーラム」が設立されるなど“オールジャパン”体制で強力に推進している。

●NTTドコモは来年5月にもサービス検証をスタート

 では、5Gはどのような分野で活用されるのだろうか? 先にふれた自動運転やIoTに加え、遠隔ロボット操作、4K/8Kといった超高精細映像の伝送などが想定されているが、その一例を技術開発でリードするNTTドコモが示した。同社は11月9日、5Gを活用した有望なサービスを体験できる通信環境「5Gトライアルサイト」を17年5月にも構築すると発表した。まず東武鉄道 <9001> と協力して、東京スカイツリーを中心としたエリアでVR(仮想現実)を使った観光案内などを開始。このほかALSOK <2331> とは高解像度カメラを用いた安全システムへの適用に向けた検討、ジャパンディスプレイ <6740> とは次世代ディスプレー技術を活用したデモンストレーション、凸版印刷 <7911> とは高品位なVRコンテンツの配信に向けたデモンストレーションを行い、「技術標準化に向けてどういったサービスが提供できるのか、今後はさらに連携企業を拡大し、一般の消費者や企業にとっての利便性を検証していく」(広報部)としている。

●ソフトバンクGは「5G Project」開始

 一方、ソフトバンクグループ <9984> は9月から、さまざまな最新技術をいち早く顧客に提供する「5G Project」をスタートした。第1弾として5Gの有力な要素技術のひとつである「Massive MIMO」(空間多重技術)の商用サービスを世界で初めて提供。これは一人ひとりに専用の電波を疑似的に割り当てることができるビームフォーミング技術を用いることで、通信速度が遅くなりがちだった混雑した場所でも快適なモバイル通信を実現できる5Gの特徴的技術を利用したサービスとなっている。

●アルチザやネクストジェン、サイバーコムなども注目

 総務省が17年度から5Gを活用したサービスの開発に乗り出すことを表明していることもあり、今後は大手通信キャリア(通信事業者)による一段の投資拡大が見込まれる。日立製作所 <6501> や三菱電機 <6503> 、NEC <6701> 、富士通 <6702> といった大手ベンダーのほか、ソフトウエアシステム構築や通信関連機器を手掛ける企業のビジネス機会が広がりそうだ。

 関連銘柄では、アルチザネットワークス <6778> [東証2]はC-RAN(集中型無線アクセスネットワーク)基地局の限界性能を測定するテスターを世界の大手通信キャリアや大手ベンダーに提供した実績があり、既に5G対応への投資も開始している。また、ネクストジェン <3842> [JQG]は通信事業者向けソリューションを手掛け、NTTドコモに通話管理システムを提供した実績がある。

 また、昨年10月にスペインのEMITEなどと共同で5G事業を展開すると発表した理経 <8226> [東証2]、第5世代モバイル推進フォーラムに参加している構造計画研究所 <4748> [JQ]、通信ソフトウエア開発を手掛けるサイバーコム <3852> 、5Gへの移行に伴うミリ波用IC/電子部品市場の拡大に対応するためのプロジェクトチームを発足させているヨコオ <6800> 、前期の決算説明会資料の中で5Gへの注力を打ち出したPALTEK <7587> [東証2]、イスラエルのアルテア社と5Gを含む将来提供予定のすべてのチップで包括技術ライセンス契約を結んでいるJIG-SAW <3914> [東証M]などにも注目したい。

株探ニュース

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