【特集】西川雅博氏【検証・年末年始「日米同時株高」シナリオ】(2) <相場観特集>
西川雅博氏(光世証券 執行役員)
―進む日経平均1万8000円台固め、上げ潮ムードは継続するか―
東京株式市場は押し目を形成しても下値を拾う資金が健在であり、日経平均株価は1万8000円台固めを着々と進めている印象を受ける。目先は円が買い戻されているとはいえ、トランプ氏が米大統領選で勝利した後は急速な円安進行が株高を後押しする構図で、買い主体である外国人がマーケットの上げ潮ムードを支えている。年末年始に向け日米同時株高シナリオに変化はないのか、第一線で活躍する市場関係者に現在の強調相場の行方について聞いた。
●「日本株が米国株をアウトパフォームする状況は継続」
西川雅博氏(光世証券 執行役員)
各国の株式市場の中で、トランプラリーが最も顕著に現れたのが日本株である。TOPIXは米大統領選から11月28日まで12連騰を記録、上昇率は13%に達した。米国株高に追随したというより、トランプノミクスによるインフレ期待が台頭する中で、日米の金融政策スタンスの違いが鮮明化したということであろう。
長期金利が急上昇した米国に対して、日本では指値オペが実施されるなど量的・質的金融緩和の維持で、日米金利差が急拡大した。10年債の利回り差は2.3%以上と、1ドル=125円台をつけた昨年6月時を上回っている。今後の日本株を占う上でも、ポイントはトランプノミクスへの思惑が色濃く反映する米国の長期金利動向とみている。米国株式は長期金利が上昇すれば、金利裁定が働いて上値が抑えられるが、日本株にとってはドル高円安を通じてポジティブ要因である。日本株が米国株をアウトパフォームする状況は継続するのではないだろうか。
この点に敏感に反応しているのが外国人投資家で、11月第2週は現物・先物計6228億円、第3週は同1兆1619億円の大幅買い越しであった。一方、国内勢は総じて売り越しで、特に信用買残の時価総額に占める比率は、0.4%以下と歴史的低水準のままである。株価的には移動平均とのカイ離率など短期的な調整を示唆する局面ではあるが、需給面での過熱感は乏しい。
トランプ氏の経済政策が、保護主義に傾斜するのではなく、インフラ投資による拡大路線に向かうという期待は、来春くらいまで継続するであろう。歴史的な大統領選を経て買い転換した大きな潮流は、そう簡単に腰折れすることはないとみている。個別では引き続き三菱UFJフィナンシャル・グループ <8306> と出遅れのキヤノン <7751> に注目。
(聞き手・加藤智)
<プロフィール>(にしかわ・まさひろ)
1960年奈良県生まれ。82年早稲田大学政治経済学部卒、大和証券入社 90年より光世証券 法人部、営業部長、現在コンサルティンググループ担当。
株探ニュース