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2016年11月17日20時00分

【特集】再び高まる「節約志向」、デフレ関連株に“活躍の芽” <株探トップ特集>

ドンキHD <日足> 「株探」多機能チャートより

―消費者物価指数7ヵ月連続のマイナス、業績好調目立つ関連株―

 日本経済は、安倍晋三首相の思いとは裏腹に、デフレ再燃へと逆行している。10月28日に総務省が発表した9月の消費者物価指数は前年同月比0.5%下落の99.6と7ヵ月連続でマイナス、物価上昇率2%達成への道は遠のくばかりだ。ただ、トランプ次期米大統領の登場で世界経済はデフレを脱して、インフレ基調へ向かうとの見方も出てきている。とはいえ、そうたやすくいかないのが、多くの国内事情を抱える日本経済で、節約志向はさらに高まりそうな気配。デフレ関連銘柄の現状を探った。

●遠のく物価上昇率目標「2%」

 1日、日本銀行は金融政策決定会合で、物価上昇率目標「2%」の達成時期を、従来の「2017年度中」から「18年度ごろ」へ先延ばしにした。給与所得が予想以上に伸びないことや、消費意欲の低迷などが原因とされる。そんななか、安倍首相は16日に17年の春闘で経済界に賃上げを要請、政府の焦りが表面化している。いわゆる官製春闘は4年連続となるが、賃上げの構図は大企業が中心、中小企業へはなかなか拡大しないというのが現実にある。また、天候不順による野菜の高騰は、庶民の生活をさらに圧迫し節約志向の加速へとつながっている。

 直近では、イオン <8267> が10日、プライベートブランド(PB)「トップバリュ」の主力30品目の値下げを発表。11日から順次値下げを行い、競合他社との差別化を図り攻勢に出る。また、ダスキン <4665> は、同社が運営する「ミスタードーナツ」で、定番商品35種類について10~30円の値下げを8日からスタートした。ドーナツ業界は、節約志向の高まりに加え、コンビニの参入で競争が激化しており、値ごろ感で集客を図る構えだ。

●100円ショップ関連が脚光

 値下げの発表が相次ぐなか、株式市場では既にキャンドゥ <2698> 、ワッツ <2735> 、セリア <2782> [JQ]、レック <7874> などといった、いわゆる“ 100円ショップ銘柄”の株価が脚光を浴びている。

 キャンドゥは10月14日に16年11月期の連結業績予想について、営業利益を17億5500万円から前期比81.3%増の23億9000万円へ、純利益を7億7900万円から同83.9%増の10億3000万円へ上方修正。期初から進めていた商品戦略や販売戦略が奏功するほか、販管費などの抑制を図っていることが寄与する。セリアの業績も好調だ。同社は、10月25日に17年3月期の単独業績見通しについて、上方修正している。

●低価格食品で攻勢掛けるドンキホーテ

 小売り関連企業の上期決算はインバウンド需要の剥落に加えて、消費者の節約志向の高まりなどを背景に売上高の下方修正が相次いだ。そのなか、低価格路線を貫く企業は収益機会を機敏にとらえて健闘が目立つ。

 市場関係者は「今は、アベノミクス主導でもたらされたひところの賃上げムードと値上げムードの反動が出ている。賃金の上昇スピードは遅く、値上げに動いた外食産業やアパレル産業などは如実に客数減少を招き売り上げが落ちるようになった。相対的に低価格を売り物とする企業が優位性を発揮しているのはライバル企業の凋落も影響している。来年前半になれば“前年同月比”で売り上げがプラス圏に浮上する企業が多くなり、視界は変わってくる。それまではデフレ関連企業が株価的にも注目を集めやすいだろう」(国内ネット証券アナリスト)と指摘している。

 ドンキホーテホールディングス <7532> も、ここにきて再び存在感を高めてきている。同社は、インバウンド関連の中核として知られるが、ここ低価格食品の好調などが牽引し4日に発表した第1四半期(7-9月)連結決算は、売上高2013億2700万円(前年同期比7.9%増)、営業利益125億3200万円(同10.9%増)、純利益81億2700万円(同25.4%増)と2ケタ営業増益となった。同社では、低価格食品の好調について、「各店舗が、地域と競合店との状況を考慮しながらお得感のある商品を提供するよう努めている」(広報)としている。また出店攻勢も強める方針。インバウンドによる消耗品類の好調に加え、低価格食品という二本柱が同社の業績を牽引していきそうだ。

●企業努力が求められる時代に

 また、総合ディスカウントストアでは九州地盤のMrMax <8203> にも注目。消費者の財布の紐が締まるなか、“ちょい飲み志向”も健在でハイデイ日高 <7611> 、全メニューを280円(税抜き)で提供する鳥貴族 <3193> にも商機が拡大しそうだ。

 ある大手飲食店情報サイトを運営する企業の営業マンがそっと耳打ちする。「昨年の初めまでは、高級・高額店舗をターゲットに会社全体が動いてきたが、急速に低価格路線へと舵を切っている。理由は、もちろん節約志向の加速。ただ、“安かろう悪かろう”が受けいれられなくなっている以上、大変な企業努力が求められることになる」と語る。

 世界の意表をついて、トランプ氏が次期米大統領に選出されるなかで株高が加速している。しかし、株高と同時に世界は混沌とした空気が漂っているのも事実だ。さらに、政府・日銀の思惑に反し、消費意欲の停滞感が急速に台頭し始めたいま、デフレ関連銘柄の活躍舞台はジワリ広がりを見せている。

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