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2016年11月12日20時30分

【特集】“大化け株”への新ワード、「デジタルツイン」先回り買い候補 <株探トップ特集>

安川情報 <日足> 「株探」多機能チャートより

―株価4倍高の安川情報に続く銘柄は? 候補探しが本格化―

 IT分野の調査・助言などを手掛ける米ガートナーは10月18日、2017年に企業や組織にとって戦略的な重要性を持つと考えられるテクノロジー・トレンドのトップ10を発表した。「機械学習とAI(人工知能)」および「VR(仮想現実)とAR(拡張現実)」、「ブロックチェーンと分散型台帳」などとともにリストアップされたのが、耳慣れない「デジタル・ツイン」というワードだ。

●監視デバイスやコントローラーに取って代わるとの予測も

 「デジタル・ツイン」とは、製造業におけるシミュレーション技術と位置付けられるもので、ガートナーでは「センサーやデータを使って、状態の把握、変化への対応、運用の改善、付加価値の提供を行う物理的なモノやシステムの動的なソフトウエア・モデル」と定義している。具体的には、実物の製品と全く同じデジタルデータの製品を作っておき、製品につけたセンサーが稼働状況などの情報をデジタルデータ製品にフィードバックすることで、障害予測や運用効率の向上、強化製品の開発などに生かすというものだ。ガートナーでは「3~5年以内に数億個のモノがデジタル・ツインによって表されるようになり、最終的にはこれまでの監視デバイスやコントローラー(圧力計、圧力バルブなど)に取って代わることになるだろう」と推測している。

●NTTコムは安川情報との協業で提供開始

 米ゼネラル・エレクトリック(GE)が航空機用ジェットエンジンの製造・保守に「デジタル・ツイン」のコンセプトを導入するなど海外企業を中心に取り組みが活発化するなか、NTTコミュニケーションズ(東京都千代田区)は8月下旬から製品の遠隔監視・保守・利用状況分析をすぐに実現できる新システム「Machine Cloud」の提供を開始した。これはアプリケーションやネットワーク、IoTゲートウェイ機器までをワンストップで提供するものだが、このサービスビジネスの普及を支援するのが安川情報システム <2354> [東証2]だ。安川情報は8月29日に「Machine Cloud」にIoT M2M クラウドサービス「MMCloud」を提供すると発表したのをきっかけに人気化。その後も IoT関連の材料が相次ぎ、株価は8月下旬の300円台から10月20日の年初来高値1331円まで駆け上がった。

●ユビテックやアイビーシー、図研エルミックにも注目

 これを機に“第2の安川情報”を探す動きが活発化し、9月中旬から10月下旬にかけてユビテック <6662> [JQ]の株価が急伸。IoTシステムを実現するさまざまな技術を持っていることや、AI搭載の工場管理装置などの新事業が始動したことが注目された。同社ではデジタル・ツインについて「これまでは熟練技術者によって故障の予兆などを検知することができたが、今後は高齢化が進むにつれ遠隔監視システムなどの需要が増えるだろう。実際、引き合いが増えている」(管理本部)といい、市場のさらなる拡大を見込んでいる。

 このほかでは、製造ラインの統合管理ソリューションを手掛けるアイビーシー <3920> [東証M]や、システム障害の監視ソフトを提供するサイオステクノロジー <3744> [東証2]、AIロボット技術による自動運用・自動制御をコアテクノロジーとした次世代マネージドサービスを提供するJIG-SAW <3914> [東証M]、9月16日に「チョコ停」の要因解析のためのデータ収集を容易にするアプリケーションパッケージ「チョコ停Finder」の販売をスタートした図研エルミック <4770> [東証2]などへの関心も高まっている。なお、「チョコ停」とは生産ラインが自動運転中に突然停止する故障のうち、一時的なトラブルで停止し比較的容易に復旧することができるものをいい、原因の特定が難しいことから必要な対策がとりにくく生産現場での課題となっている。

●東芝はIoT関連売上2000億円へ倍増を計画

 デジタル製造業に変貌しようとする動きは多くの企業でみられ、東芝 <6502> は11月1日から新たなIoTアーキテクチャ「SPINEX」の提供を開始した。特徴は、現場でのリアルタイムな処理とクラウドを最適に組み合わせるエッジコンピューティングの仕組み、およびデジタル・ツインを構築できること。同社は「時代の流れもあり、当社としてもIoT事業の展開を加速させる」(広報・IR部)としており、グループ全体のIoT関連の売り上げを現在の1000億円から20年には2000億円まで拡大する計画を打ち出している。

●ISIDとロームはプロトタイプを開発

 また、電通国際情報サービス <4812> とローム <6963> は10月4日、共同開発中のIoTインフラ「シナプセンサー」を用いて、屋内で稼働する作業車の位置や稼働状況などをリアルタイムで可視化するシステムのプロトタイプを開発したと発表。今後、製品化を加速させるとしている。他のデジタル・ツイン関連銘柄としては、10月26日に米GEとIoT分野で包括的な提携を発表したNEC <6701> 、10月から電動工具用チェックシステムの運用を開始した日立工機 <6581> 、グループ会社が6月から保守・保全業務につながるIoTソリューション「CareQube+」の販売を始めたTIS <3626> 、8月に医療用機器向け総合保守サービス支援システムの提供を発表した堀場製作所 <6856> などが挙げられる。

株探ニュース

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