【特集】「3カ月半ぶり円安・106円台、12月FOMCでピークの可能性も!」上田ハーロー・山内俊哉執行役員に聞く!<直撃Q&A>
山内俊哉氏(上田ハーロー 執行役員・マーケット企画部長)
Q1 9日の米大統領選の開票時にドルは一時101円まで急落した後は、猛烈な反騰となりました。この動きをどう分析していますか?
山内 当日は、クリントン氏の勝利に対する期待が膨らんでいたが、不利な情勢が判明し、期待が剥げ落ちるとともに不透明感が強まったことが、ドル売り・円買いを呼んだと思う。ただ、円が急伸した場面では、日本の金融当局による為替介入思惑が台頭した。また、米共和党が上下両院ともに制したことが判明するとともに、トランプ氏の規制緩和や大型減税の政策が通るとの観測が浮上した。同氏の政策は米国の景気拡大につながるとの見方が強まり、ドルは買い戻されたとみている。
Q2 トランプ次期政権の為替政策はどう予想しますか? イエレン米連邦準備制度理事会(FRB)議長は任期いっぱいでクビにするとの観測もあります
山内 トランプ氏は、あまり為替には関心はないのかもしれない。為替政策に関しても、ポピュリズム的であり、米国の景気が拡大したり株価が上昇したりすれば、ドルが高くても安くてもどちらでもいいようにも思える。同氏の為替に対する見方を決めつけるのは危険だと思う。いまのドル高は米長期金利の上昇が背景になっており、株価の上昇が続けば個人消費が拡大し、12月は利上げの実施が予想される。また、この調子がもし続くのなら、来年は3~4回の利上げもあり得そうだ。イエレン氏は利上げに慎重であり同氏のクビが挿げ替えられれば、利上げにはプラスとの見方もあり得る。ただ、もし議長が変わったとしても政策が大きく変わることはないようにも思える。
Q3 年末に向けてのドル円相場はどう予想しますか
山内 年末までのドル円のレンジは102円50~109円50銭を想定している。110円近辺までドル高が進む可能性があるが、当面は12月の米連邦公開市場委員会(FOMC)がピークになるかもしれない。それからは1月の就任に向け、誰が財務長官となるかなどを確かめることになるだろう。現在のドル高は、あまり長く続かない可能性もあると思う。トランプ氏は移民に否定的な姿勢を示しているが、もし実行に移せば、人口減にもつながりかねないだけに、米国の景気をかなり落とすことも予想される。そうなれば、景気対策が空回りすることもあり得る。
(聞き手・岡里英幸)
<プロフィール>(やまうち・としや)
上田ハーロー、執行役員・マーケット企画部長。1985年 商品先物会社入社。コンプライアンス、企画・調査などを経て1998年4月の「外為法」改正をうけ外国為替証拠金取引の立ち上げを行う。2005年7月 上田ハーロー入社。前職の経験を生かし、個人投資家の視点でブログなどへ各種情報の発信やセミナー講師に従事。日経CNBC「朝エクスプレス」為替電話リポートに出演のほか、金融情報サイトなどへの情報提供などでも活躍している。
出所:株経ONLINE(株式会社みんかぶ)