【特集】<話題の焦点>=ヨーグルトの供給体制強化へ、高需要受け増産相次ぐ
森永乳 <日足> 「株探」多機能チャートより
ヨーグルトメーカーの間で供給体制の強化を図る動きが相次いでいる。背景には健康志向の高まりで需要が着実に伸びていることがあり、なかでも健康の維持・増進に効果があるとされる乳酸菌や特定の菌などを含む「機能性ヨーグルト」が市場拡大を牽引している。森永乳業<2264>によると、2015年度の家庭用ヨーグルトの市場規模は14年度に比べ12%増の約4000億円に達しており、各社は今後も成長が見込まれる市場で存在感を高めたい考えだ。
森永乳業は10月28日、機能性ヨーグルトを増産するため約282億円を投じると発表した。利根工場(茨城県常総市)では新棟建設に約217億円、神戸工場(兵庫県神戸市)では生産ラインの増設に約65億円を投資。両工場の生産能力は現状から年間2万8000キロリットル増え、これにより家庭用ヨーグルトの売上高を20年度に760億円(15年度比5割増)まで引き上げたいとしている。
国内最大手の明治ホールディングス<2269>も取り組みを強化しており、11月2日には機能性ヨーグルト「明治プロビオヨーグルト」ドリンクタイプの生産能力を増強することを明らかにした。約50億円をかけて戸田工場(埼玉県戸田市)に1ラインを増設し、12月下旬にも稼働させる予定だ。「プロビオ」シリーズはここ数年2ケタ成長を続けており、15年度の売り上げは1000億円超(14年度比22%増)にまで伸長している。
また、雪印メグミルク<2270>が販売している「恵 ガセリ菌SP株ヨーグルト」も好調だ。同社は5月に、この製品のドリンクタイプを増産するため約13億5000万円を投資すると発表。海老名工場(神奈川県海老名市)に生産設備を1ライン増設し、小型ボトルタイプドリンクヨーグルトの1日当たりの生産能力は8月から約2倍に高まった。
フジッコ<2908>もヨーグルト事業に注力している1社だ。同社は総菜製品や昆布・豆製品が主力ながら、「カスピ海ヨーグルト」シリーズの売り上げが順調に伸びている。5月に発表した新中期経営計画では同事業の売上高を16年3月期の48億7900万円から19年3月期には80億円まで拡大する計画で、量販店および通信販売、百貨店の3つの販売チャネルの特性を生かして成長を図る構えだ。
出所:株経ONLINE(株式会社みんかぶ)