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2016年10月25日18時00分

【特集】「揺れる英国、ポンドそしてユーロの行方は?」 上田ハーロー・山内俊哉執行役員に聞く! <直撃Q&A>

山内俊哉氏(上田ハーロー 執行役員・マーケット企画部長)
 英国ポンド市場が揺れている。今年6月の国民投票によるEU離脱決定後、ポンドは対円で2割近く下落。今月初旬には一時1ポンド=1.20ドル前後と31年ぶりの水準まで売り込まれた。今後、英国がEU離脱に向けて本格的な交渉に向かうなか、ブレグジット(英国のEU離脱)決定時に巻き起こった懸念は本格化する可能性がある。英ポンドとユーロの見通しについて、上田ハーローの執行役員・マーケット企画部長、山内俊哉氏に聞いた。

Q1 英ポンドは10月初旬に対ドルで、一時31年ぶりの安値に下落しました。ここへきての英ポンド安の要因は?

 英メイ首相が保守党大会で演説し、そのEU(欧州連合)離脱に向けた姿勢が、経済より移民制限の優先と受け止められ、「ハード・ブレグジット」への懸念から英ポンドは売られた。その後、メイ首相が懸念を否定する動きを見せたほか、ポンドはやや売られ過ぎとの見方も出た。ただ、投資家はいずれにせよ、EU離脱で英国経済は景気が悪化するとみており、英ポンドの戻りは鈍い格好となっている。

Q2 今後、英国のEU離脱に向けた動きはどうなりそうですか。英ポンドの下値メドは?

 メイ首相は来年3月末までにEU離脱を通知する方針を示している。EUも来年5月のフランス大統領選挙を意識し、英国の離脱に向けた行動を催促するだろう。今後、英国はEU離脱に向け具体的な方向を固めていくことになる。英国に拠点を置く金融機関は、すでに欧州大陸などへ機能移転を始めている。問題は、金融機関の機能移転が一部にとどまるか、中核部分を含む多くの部分になるかだが、英国のGDPに占める金融業の比率は12%程度あり、その影響は無視できない。また、ポンド安による物価上昇で英国はスタグフレーションをもたらすこともあり得る。

 こうしたなか、ポンドは、年末から来年にかけてなお、下値を探る展開が予想される。今後の状況次第では、最悪ではスコットランドや北アイルランド独立の動きが出てくることも見込まれる。その場合、1ポンド=1.13ドル前後までの下落は予想される。ポンドは対円では1ポンド=118~119円(現在127円前後)まで下落するかもしれない。

Q3 今後年末に向けてユーロはどう動きそうですか?

 英国のポンド安や景気悪化はユーロにとっても悪材料だ。当面は欧州中央銀行(ECB)の量的緩和の継続が焦点で、12月のECB理事会で来年3月の期限は延長されるだろう。ユーロは対ドルで1ユーロ=1.05ドル前後(現在1.087ドル前後)まで、対円では1ユーロ=110円50銭前後(同113円60銭前後)まで下げる可能性があるとみている。ただ、ECBが量的緩和の延長を決めた時点でユーロはいったん下げ止まるとみている。

(聞き手・岡里英幸)

<プロフィール>(やまうち・としや)
上田ハーロー、執行役員・マーケット企画部長。1985年 商品先物会社入社。コンプライアンス、企画・調査などを経て1998年4月の「外為法」改正をうけ外国為替証拠金取引の立ち上げを行う。2005年7月 上田ハーロー入社。前職の経験を生かし、個人投資家の視点でブログなどへ各種情報の発信やセミナー講師に従事。日経CNBC「朝エクスプレス」為替電話リポートに出演のほか、金融情報サイトなどへの情報提供などでも活躍している。

出所:株経ONLINE(株式会社みんかぶ)

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