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【特集】太田千尋氏【新局面入りか―、1万7000円奪回後の展開は?】(1) <相場観特集>

太田千尋氏(SMBC日興証券 投資情報部部長)

―トレンドは本当に変わったのか? 今後の相場展望を聞く―

 24日の東京株式市場は堅調。前週末に日経平均株価は6日ぶりに反落したものの、きょうはその下げ分をほぼ取り戻す格好となった。ただし、東証1部の騰落レシオは136%まで上昇するなど過熱領域に大きく踏み込んでいるにも関わらず、売買代金は約5ヵ月ぶりの低水準と閑散商状が際立つ。外国人の買い意欲復活なども観測されるなか、果たして相場のトレンドは本当に変わったのか。第一線で活躍する市場関係者の意見をまとめた。

●「決算発表通過の来月中旬以降上昇軌道に」

太田千尋氏(SMBC日興証券 投資情報部部長)

 東京株式市場は当面堅調な動きが想定されるが、日経平均が明確に上値追い態勢をみせるのは3月期決算企業の中間決算発表が出揃う11月中旬を過ぎてからとみている。決算は為替の円高デメリットなどの影響が反映されそうだが、ここを通過することで17年3月期についての企業のガイダンスリスクは、おおかた織り込むことになり、マーケットの関心は次第に来18年3月期の展望へと移行していく。

 海外では11月の米大統領選において懸念されたトランプ・リスクは杞憂に終わりそうだ。また、米連邦準備制度理事会(FRB)は12月の連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げに動く可能性が濃厚である。このシナリオを底流に為替は年内1ドル=105~106円程度の水準へと円安傾向に振れる公算が大きく、外需企業中心に追い風となる。内需セクターも政府の財政政策を背景に収益面で押し上げ効果が働く。これらの条件を考慮すると、年末までに日経平均は1万8000円前後の水準を回復してくるのではないか。

 もちろん、米国の長期金利の動向や米国株式市場が波乱展開に見舞われるなど、突発的な悪材料による下振れリスクも念頭に置いておく必要はある。ただし、その場合も下値に対する抵抗力は発揮され、日経平均1万6500円近辺が下値のメドとみている。

 ここからの投資対象としては、半導体や半導体製造装置などエレクトロニクス関連の一角に強さを感じる。また、石油輸出国機構(OPEC)の減産合意で原油市況が底を入れたことで、資源開発関連株プラント関連株にも物色資金が向かう可能性があろう。

(聞き手・中村潤一)

<プロフィール>(おおた・ちひろ)
1985年日興証券入社。投資情報部、金融法人営業部、日興ソロモン・スミス・バーニー証券(現シティグループ証券)出向(リサーチ部門)、エクイティマーケティング部、株式アドバイスセンター、機関投資家営業部を経て、2013年10月より現職。日本証券アナリスト協会検定会員。

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