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【特集】檜和田浩昭氏【新局面入りか―、1万7000円奪回後の展開は?】(3) <相場観特集>

檜和田浩昭氏(東洋証券 マーケット支援部長)

―トレンドは本当に変わったのか? 今後の相場展望を聞く―

 24日の東京株式市場は堅調。前週末に日経平均株価は6日ぶりに反落したものの、きょうはその下げ分をほぼ取り戻す格好となった。ただし、東証1部の騰落レシオは136%まで上昇するなど過熱領域に大きく踏み込んでいるにも関わらず、売買代金は約5ヵ月ぶりの低水準と閑散商状が際立つ。外国人の買い意欲復活なども観測されるなか、果たして相場のトレンドは本当に変わったのか。第一線で活躍する市場関係者の意見をまとめた。

●「円高進行懸念は後退、年末までに1万8000円台回復も」

檜和田浩昭氏(東洋証券 マーケット支援部長)

 9月下旬には、一時1ドル=100円を超える円高進行が懸念された時期もあったが、このところの円相場は1ドル=104円を挟む水準で落ち着きをみせている。17年3月期第2四半期累計(4-9月)決算の発表が本格化しており、今週末の28日、来週初の31日には前半のピークを迎える。決算発表に伴って、円高進行を理由に17年3月期通期の業績予想を下方修正する企業は想定されるものの、株価面でのマイナスインパクトは軽微となりそうだ。逆に、年内の米利上げを考慮すれば、やや円安・ドル高方向に振れる可能性もある。

 今週中に発表される米7~9月期のGDP速報値や、住宅関連の指標が強めの内容となれば、米金利の12月利上げの可能性がさらに高まる。そうすると、例えば1ドル=105円台といった、多くの主要輸出関連企業の想定為替レートに接近し、円高に伴う業績悪化懸念が払拭されてくる。次回の金融政策決定会合(10月31日~11月1日)は、追加緩和見送りの可能性が高まっているものの、12月(19~20日)は、米連邦公開市場委員会(FOMC)の後の開催だけに、何らかの追加緩和策が打ち出される可能性もある。

 日経平均株価の今年に入ってからの価格帯別の累積売買代金を見ると、最も膨らんでいるのが1万6500~1万6800円、次が1万6800~1万7000円となっている。1万7200円から上の価格帯では上値を追うごとに売買代金の累積が減少する傾向にあり、上値圧迫の売りは限定的と想定される。したがって、年末までの1万8000円台回復は十分可能性がありそうだ。今後の物色対象は好業績銘柄を基本に、IoTクラウドM&Aなどのテーマに沿った銘柄も注目を集めそうだ。

(聞き手・冨田康夫)

<プロフィール>(ひわだ・ひろあき)
1990年東洋証券入社、府中・横浜・福山支店で個人のリテール営業を経験。2002年情報部を経て11年2月からアジア部ストラテジストとして日本株と中国株を中心に相場分析を担当。その後、投資調査部次長を経て2015年11月から現職。日本FP協会正会員(CFP)。日本テクニカルアナリスト協会検定会員(CFTe)。株式講演会講師、新聞取材など多数。

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