【市況】【植木靖男の相場展望】 ─ 関ヶ原での西軍の裏切りか
株式評論家 植木靖男
「関ヶ原での西軍の裏切りか」
●第二関門到達に期待
季節はようやく秋らしくなり朝晩は寒気さえ感じる。春にくらべ秋は何かきっかけがあれば一気に速歩でやってくる。北からは早くも積雪の便りが届く。
では株式市場はどうか。季節の寒暖と反比例の動きをみせてきたが、ここ市況は上昇の気配を強め暖気がみなぎってきたようにみえる。
10月20日待望の1万7000円台に再び乗せて引けた。昨年6月の大天井からの調整終了は、その後の値動きから、第一関門1万7081円、第二関門1万7572円を突破することが条件とみなしてきた。
10月20日第一関門を突破したことで底入れ確認が近づいたかにみえる。秋の季節のように速足で第二関門1万7572円に到達することを期待したい。
とはいえ、悲観論が市場では支配的とさえいえる現状だ。
米国大統領選や欧州での金融システム不安などで、ここ1年有余に及ぶ調整の最大の元凶である円高がさらに進むとの警戒感によるものだ。
また、米国株価への不安もある。確かに米国株価は8月に大天井を打ち、目下数百ドル下値でもみ合っているが、これが下落途中の中段の保ち合いなのか、新たな上昇に向けての底固めの段階なのか定かでない、というもの。筆者もこの点では十分理解している。
大天井からの調整としてはあまりに日柄が浅く、下落幅が小さすぎるのだ。仮に、このまま高値更新ということを想定すると09年3月からの中期大底からの上昇がなお続いていることを意味する。
また、仮にそうだとしても、遠からず大きな下落が待ち受けている可能性はなきにしもあらずだ。
●2万円挑戦には海外勢の買いが絶対条件
ところで市場では、日銀買い・海外勢の売りの構図のもと、1万7000円大台乗せの功労者は誰か、といった話題が関心を呼んでいた。
先般、発表された東証調べで海外勢が2週連続で買い越したことが明らかになった。10月入り後、日銀はほとんど買っていないだけに話題になったものだが、海外勢の一部の買い転換は、関ヶ原での西軍の小早川秀秋の裏切りに似たようなもの。今後、株価の状勢は一気に変化することになろう。
海外勢の買いは、借り株による売りの買い戻しとの噂がしきりだ。
いずれにしても、先行き2万円に挑戦するには、目下、市場の主役を担っている海外勢が買い越しに転じることが絶対条件であろう。
それには、やはりアベノミクス第二弾ともいうべき金融と財政のポリシーミックスで景気が回復に転じるかどうかにかかっているといえよう。
2016年10月21日 記
株探ニュース