【市況】【植木靖男の相場展望】 ─ 買いエネルギーの貯め込みが必要
株式評論家 植木靖男
「買いエネルギーの貯め込みが必要」
●勝利のために極限まで自分を信じる
ラニーニャ現象で今年は台風が少ないと予想されていた。だが、現実は台風ラッシュだ。科学的分析における予想であっても、これほど当たらないものなのだ。
株式市場においても同じ。相場の先行きをわかっているのは相場の神様のみだ。しかし、先行きの見通しがないと、人間とは行動しがたい動物であることも事実。
だとしたら、市場に飛び交う多くの予想は、あくまでも参考に資するだけで、あとは自分を信じるしかない。
相場のバブルを著した故木佐森吉太郎氏曰く、“その場合、信じるということは宗教の信心と同じで、極限まで宗教心を高めないと相場に勝てない”としている。信じるものは救われるのであろうか。
さて、日経平均株価は1万7000円前後でふらつき状態にある。先行きを占う意味で相場論からいえば、9月9日の週末の相場が極めて大事とみられた。
●日銀会合が出直りのきっかけとなるか
仮に下げるようであれば、8月26日以降の上昇相場は、いったん立ち止まることになる。折しも日柄でみて8~9日目、転機になりやすい日柄だ。
だとしたら、再び下値固め、買いエネルギーを蓄えることになる。蛙は柳の枝に飛びつくとき、背をいったんかがめて飛び上がるのと同じ。むしろこの方があとあと良い結果になりそうだ。
だが、結果は小幅高となった。この結果が示すのは、この先、大きく下落することは回避された。しかし、さりとて、このまま上値を追い続けるかどうかは定かではない。1万7000円を越えるのに容易でない現状からすれば、買いエネルギーの不足が露呈しよう。今後、買いエネルギーを貯め込むのに、それなりの日柄を必要とすることになる。
いうまでもないが、当面の上値目標は本年4月の戻り高値1万7572円(終値ベース)であることは市場のコンセンサスである。ここを突破すれば、6月安値1万5000円割れで底入れしたことが確認できるからだ。
それまでは安値もみ合い相場とみてよい。出直るきっかけは9月の日銀の金融政策決定会合で何がどう決まるかだ。
安倍政権が財政と金融政策で連携して景気を回復するとしている以上、何もしない、つまり金融政策が現状維持というわけにはいかないと思われる。EUが現状維持で金利が上昇し、株価が下げているのをみれば尚更である。
こうした思惑の高まりが昇華したところがきっかけとなって出直ることになろう。期待したい。
2016年9月9日 記
株探ニュース