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【市況】米系大手証券、黒田総裁講演=マイナス金利政策の行方と銀行セクターへの影響

 JPモルガン証券は5日付のリポートで、黒田東彦日銀総裁の講演内容を踏まえて、今後のマイナス金利政策の行方と、銀行セクターへの影響について、以下のような見解を掲載している。

 黒田日銀総裁は9月5日、きさらぎ会で講演を行った。今回の講演は、「金融緩和政策の『総括的な検証』―考え方とアプローチ」と題し、9月21日に公表予定の総括的検証の地ならしとも言える内容であった。

 講演では、物価目標2%達成を阻害した要因、マイナス金利政策の効果と影響に焦点が当てられた。銀行セクターに影響の大きいマイナス金利政策については、これまでプラスの効果と先行きの拡大余地について言及することが多かったが、今回は同政策の金融機関収益への影響が大きい点や、金融機関収益低下により貸出金利への波及余地が低下する可能性を明示にした点が注目された。

 今後、英国のEU離脱交渉開始などにより金融経済環境が不確実性を増す中で、マイナス金利拡大というコストを伴う政策オプションも、物価目標2%達成というベネフィットとの比較考慮で決めるべきだとして、その政策カードを温存した。

 日銀は特定の政策の方向性を示さないとしており、依然として分かり難いが、今般示されたマイナス金利政策についての日銀の説明の変化点は、これまで示されてきた銀行界や金融庁の主張とも整合的であり、この延長線では、マイナス金利拡大の蓋然性が当面低下したとの印象である。9月21日の政策決定会合を踏まえ、銀行株にはポジティブに働く可能性があろう。

出所:株式経済新聞(株式会社みんかぶ)

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