【特集】対プーチンで安倍首相“渾身の一手”、急浮上「ロシア関連株」を見よ <株探トップ特集>
北方領土問題解決に向け、幅広い分野での経済協力の進展が期待される。
―連続する日ロ首脳会談、北方領土問題解決・平和条約・経済協力へ高まる可能性―
2日のロシア・ウラジオストクでの日ロ首脳会談を経て、両国間での北方領土問題を含む平和条約締結交渉と経済協力が進展する可能性が浮上している。とくに、日ロの経済協力ではロシア極東地域での資源開発を中心に、幅広い分野での進展が期待される。株式市場でも、今後折に触れてロシア関連銘柄が物色対象として注目されそうだ。
●12月会談での北方領土問題進展を目指す
安倍晋三首相とロシアのプーチン大統領は2日の会談で、11月にペルーで開催されるアジア太平洋経済協力会議(APEC)での会談の開催、さらに12月に首相の地元・山口県で会談を開催することで合意した。安倍政権は、ロシアとの平和条約交渉を巡り、12月の公式会談で北方領土問題の具体的な進展を目指す考えだ。ただ、ロシア側は北方領土などでの共同開発の必要性を強調するなど、経済協力を重視しており、双方の思惑の違いも顕在化している。
北方領土問題の進展に向けて日本政府は、ロシアに対して極東地域でのエネルギー分野で包括的な協力策を打ち出す可能性が高まっている。石油や天然ガスの資源開発を検討するほか、ロシア国営の石油最大手企業に出資する案が浮上している。
●安倍首相が石油資源開発など8項目を提案
日ロの経済協力をめぐっては、安倍首相が5月の首脳会談で「8項目の経済協力プラン」を提案し、ロシア側は「新提案を高く評価したい」と受け止めている。具体的には、(1)最先端病院の建設など健康寿命の伸長、(2)寒冷地仕様住宅、交通網整備などの都市づくり、(3)中小企業の交流・協力の拡大、(4)石油やガスなどのエネルギー開発協力、(5)ロシアの産業の多様化促進と生産性の向上、(6)極東での港湾・空港整備、農地開発などの産業振興、(7)原子力やIT分野など先端技術の協力、(8)相互理解を深めるための人的交流の拡大――などとなっている。これとは別に、壮大な構想として、ウラジオストクと新潟を直線で結ぶ約900キロメートルを天然ガスパイプラインルートとして結ぶ「日本海横断パイプライン構想」もある。
●石油開発、大手商社、物流、水産、医療など注目
個別銘柄では、資源開発関連として三井物産 <8031> 、三菱商事 <8058> 、丸紅 <8002> の大手商社をはじめ、石油・ガス開発の国際石油開発帝石 <1605> や石油資源開発 <1662> 。さらに、石油・ガスプラントの総合エンジニアリングの千代田化工建設 <6366> 、日揮 <1963> 、東洋エンジニアリング <6330> が注目される。また、浮体式の原油生産貯蔵設備(FPSO)を設計・建造する三井海洋開発 <6269> 、パイプライン用鋼管のジェイ エフ イーホールディングス <5411> などにもビジネスチャンスが広がりそうだ。
中小型株ではアジア船ターミナル業務が主力で、ロシアへの国際輸送に強みを発揮している東海運 <9380> に注目したい。ロシアやNIS(ロシアを除く旧ソビエト連邦諸国)向けに、速くかつ安全な輸送サービスを比較的低廉な料金で提供している。また、国際物流大手で対ロシアでの実績のある日新 <9066> は、1965年に初めてシベリア鉄道を利用した国際通過貨物を日本から欧州へ輸送した経緯がある。
さらに、北方領土近海は世界でも有数の漁場であることから、マルハニチロ <1333> 、日本水産 <1332> 、極洋 <1301> の水産各社。協力項目の一つとなっている医療設備の充実に向けて、オリンパス <7733> 、テルモ <4543> などの医療機器メーカーも注目を集めそうだ。
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