【特集】檜和田浩昭氏【夏相場の鍵握る“日銀会合・企業決算”】(1) <相場観特集>
檜和田浩昭氏(東洋証券 マーケット支援部長)
週明け25日の東京株式市場は、前場に外国為替市場での円安進行などを追い風に、買い優勢で推移する場面があったものの、後場に入ると戻り売りに押される展開で日経平均株価は小幅ながら続落で引けた。今週は日銀の金融政策決定会合に加え、4-6月期決算の発表が本格化する。こうしたイベントを踏まえて、第一線の市場関係者に今後の株式相場の見通しを聞いた。
●「物色テーマは有機EL、VR関連に注目」
檜和田浩昭氏(東洋証券 マーケット支援部長)
今週の焦点は、28~29日に開催される日銀の金融政策決定会合だ。それまでの日経平均は1万6500円水準を挟んでの膠着状態となりそうだ。参院選が終了して、政府の打ち出す経済対策が20兆円超規模と取りざたされるなかで、財政・金融両面での政策実施を求める声もあり、市場では日銀の追加緩和への期待感が強まっている。
ETF(上場投資信託)やREIT(不動産投資信託)などの買い入れ枠増額といった、何らかの量的追加緩和が実施された場合は、瞬間的には5月31日の高値(1万7251円)にトライする急上昇となる可能性もある。半面“現状維持”となった場合は、失望売りで一気に1万6000円近くまで急落する懸念もある。円相場と連動して動くことから、株価の変動幅も増幅され波乱の幅が広がる傾向が顕著だ。
17年3月期第1四半期(4-6月)の決算発表は、自動車、電機など輸出関連の主力企業を中心に27日から本格化する。1ドル=110円という平均的な想定為替レートに比べると、足もとの円相場は円高ということになり懸念がつきまとう。
ただ、英国の欧州連合(EU)離脱が決定した直後、6月24日の東京株式市場では1ドル=99円水準まで急激に円高・ドル安が加速し、これに連動して株価も下落するという経験をしており、円高を嫌気して株価が下押す場面があれば買い場ととらえることもできそうだ。英国のEU離脱決定時と異なるのは、米株式市場でNYダウ平均株価が過去最高値を更新し続けているのに加え、中国株式市場も底堅い推移となってきたことだ。
物色テーマとしては、有機EL関連、VR(仮想現実)関連に注目している。特に、VRでは、専用の家庭用ゲーム機が今秋にも本格発売されることから関心が高まりそうだ。また、政府の大規模な経済政策実施で恩恵が予想される大手ゼネコンも見逃せない。
(聞き手・冨田康夫)
<プロフィール>(ひわだ・ひろあき)
1990年東洋証券入社、府中・横浜・福山支店で個人のリテール営業を経験。2002年情報部を経て11年2月からアジア部ストラテジストとして日本株 と中国株を中心に相場分析を担当。その後、投資調査部次長を経て2015年11月から現職。日本FP協会正会員(CFP)。日本テクニカルアナリスト協会 検定会員(CFTe)。株式講演会講師、新聞取材など多数。
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