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【特集】“信認”アベノミクス、参院選与党圧勝で「期待の株」 <株探トップ特集>

与党圧勝でアベノミクスに信認、安倍首相の経済対策は?

―大型補正予算に現実味、「一億総活躍社会」へ政策加速―

 週明け11日の東京株式市場は、前週末の米6月雇用統計改善に伴う米株式の上昇や、10日に投開票された参院選で与党が圧勝し、「 アベノミクス」が継続されることへの安心感から買いが先行する展開となり、全体相場は大幅反発となった。日経平均株価は一時、前週末比700円を超える急騰場面もあり、終値は同601円84銭高の1万5708円82銭と急速な戻りをみせた。ただ、英国の欧州連合(EU)離脱による景気減速や、それに関連した円高進行など企業業績に与える不透明要素も多い。果たして今後の株式相場はどう展開するのか。

●与党過半数、景気対策で大型補正予算に現実味

 10日投開票された参院選は、自民党が56議席獲得し、公明党の14議席と合わせて70議席と、過半数の61議席を大きく上回った。また、自民、公明の連立与党とおおさか維新の会の改憲3政党が合計77議席を獲得し、非改選の改憲支持勢力の議席と合わせ、憲法改正に前向きな勢力が参院全体の3分の2(162議席)を超える165議席を占める圧勝となった。

 「アベノミクス信認」となる参院選の結果を受けて、安倍首相は経済最優先の政策を継続するものとみられる。株式市場では、安倍首相が11日午後の記者会見で、12日にも石原伸晃経済再生担当相に経済対策取りまとめを指示すると述べたことが伝えられ、財政投融資を活用したインフラ整備や子育て支援、介護の充実などに向けた具体策が強化されるとの受けとめが広がり、日経平均株価の上昇が加速。連動して外国為替市場では1ドル=101円台半ばへと円安・ドル高が進行した。市場関係者からは、今秋に10兆円を超える大規模な補正予算が編成されるとの見方が出ている。

 安倍首相が今回の参院選で争点として掲げてきた「一億総活躍社会」の実現に向けて、(1)GDP(国内総生産)600兆円の実現への新たな有望市場の創出、(2)希望出生率1.8の実現を目指した女性の就業を含めた子育て支援、(3)介護離職ゼロを目指す介護サービスの充実など――の施策がより具体的に推進されることになる。

●「一億総活躍社会」実現へ政策加速、 子育て支援に注力

 子育て支援の具体策としては、出産を望む女性のみを対象に算出する希望出生率を、現在の1.4人から1.8人まで引き上げる目標などが打ち出されている。子育てにかかる経済的負担を軽くするための幼児教育の無償化をはじめ、結婚支援や不妊治療の支援にも取り組む方針だ。厚生労働省は「待機児童解消加速化プラン」のなかで、17年度末までに約50万人分の「保育の受け皿」を確保するとしている。

 銘柄としては、保育園運営などの子育て支援最大手JPホールディングス <2749> をはじめ、病院など事業所内の保育所受託と公的保育施設運営が2本柱で保育園の開園強化の方針を打ち出すサクセスホールディングス <6065> 、育児用品のトップメーカーで、マタニティー・介護用品にも展開し、託児所運営でも実績を持つピジョン <7956> のほか、全国の保育園向けに自社開発の教育プログラムでの指導を展開する幼児活動研究会 <2152> [JQ]、本業は建築現場施工管理ながら、保育園、医療介護支援事業にも進出している夢真ホールディングス <2362> [JQ]、児童向けに教育・スポーツ事業を行うクリップコーポレーション <4705> [JQ]などが注目となる。

介護サービス充実も拡充か

 「一億総活躍社会」実現に向けた対策では、15年度補正予算で既に1兆円以上が計上されている。そのなかで介護サービス充実に向けた予算の規模は1400億円(推計)に上り、参院選圧勝によりさらなる拡充も期待される状況となっている。

 注目銘柄としては、在宅介護を主力としながらも、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)などの介護施設展開にも力を入れているツクイ <2398> のほか、マンション経営提案という異業種から参入で注目のシノケングループ <8909> [JQ]が挙げられる。また、介護に特化した人材紹介や人材派遣などの市場が活性化しつつあり、同分野で先行しているエス・エム・エス <2175> 、同様に介護業界向け人材派遣 ・紹介を手掛けるヒューマンホールディングス <2415> [JQ]も注視したい。前述のツクイは介護向け人材事業にも参入しており、この点からも有望だ。


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