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【市況】来週の相場で注目すべき3つのポイント:英国EU残留・離脱、イエレン議長証言、参院選公示

日経平均 <日足> 「株探」多機能チャートより

■株式相場見通し

予想レンジ:上限16000-下限15000円

来週は23日にEU離脱を巡る英国の国民投票を迎える。先週はEU残留支持の女性議員が銃撃され死亡したと報じられるなか、同情票から残留支持に一気に傾くのではないか、との声も聞かれていた。なお、16日公表の英調査会社による世論調査によると、EU離脱を支持する人は53%、残留を支持する人は47%となり、離脱支持が残留支持を上回った。態度を決めていない有権者も多く、大接戦のまま終盤を迎えている。とはいえ市場関係者の見方としては、大接戦の中で結局は残留とみる向きが大勢のようだ。週後半の欧州市場の自律反発の流れも、やや楽観的な見方に向かわせた感はある。

投票に向け世論調査結果によって残留支持が優勢となるようだと、残留決定後の相場反転を意識した物色が強まりやすいだろう。一方で、ギリギリまで大勢が掴めないようだと、リスク回避の流れが強まりやすい。

また、残留が決定した場合にはリスク回避の流れがいったんは後退し、リスク資産を買い戻す流れが強まりやすい。しかし、今回の英国の問題が火種となり、他国へのEU離脱を窺わせる動きが警戒されてくる可能性がある。オランダやフィンランドなどでは反EU・反ユーロの機運が高まっているとされていることもあり、不安心理が高まる可能性も警戒しておく必要がありそうだ。EU離脱が決定した場合には、一段とリスク回避の動きが強まる可能性が高い。先週の欧州株安の中で市場は織り込んだとみるのは時期尚早である。

EU残留決定となれば、短期的にはインデックスに絡んだ商いでのリバウンドも意識されるが、日経平均は先週の下げで支持線として意識されていた16500円、16000円のほか、15500円を割り込んでいる。4月安値とのボトム形成は意識される可能性がありそうだが、5月安値の16000円処での戻り売り圧力の強さが意識されやすいだろう。中長期的な資金の本格参入は期待しづらく、しばらくは短期資金による商いにより、ボラティリティの大きい相場展開が続こう。こうしたなか6月のIPOラッシュ(21日ストライク、AWSHD、22日ジェイリース、23日バーチャレクス)が継続するが、需給面の重しがないIPO銘柄には物色が向かいやすいだろう。

なお26日にはスペインで総選挙が実施される。スペインは多額のユーロ建て政府債務を抱えており、ユーロ離脱には向かわないだろう。ただし、最近の世論調査では国民党は過半数に届かず、第2党に反EU派の急進左派のポデモスが浮上している。EU諸国の政治不安定化に対する懸念から、不安定な相場展開は続きそうである。



■為替市場見通し

来週のドル・円はもみあい後に急反発する可能性がある。最大の焦点である英国の欧州連合(EU)離脱の是非を問う国民投票(23日投票)で離脱支持が過半数を占めるとの思惑で、国民投票の大勢が判明するまで(日本時間24日午後との見方)はリスク回避的な欧州通貨売り・円買いがやや優勢となる可能性がある。この影響でドルは対円で伸び悩むとみられる。

英国の国民投票については、16日に発生した英労働党議員の射殺事件を受けて、態度保留の有権者の多くが「残留」支持に傾く可能性がある。世論調査などで残留支持と離脱支持が投票直前に拮抗した場合、欧州通貨売り・円買いは弱まる可能性がある。国民投票で「残留」支持が上回った場合、これまでの反動からドル買い・円売りが急速に拡大することが予想される。

ただし、米早期利上げに懐疑的な見方があることから、ドル・円の取引ではポジション調整的なドル買いが主体となり、ドルは106円台で上げ渋る展開もあり得る。なお、21-22日にイエレン米連邦準備制度理事会(FRB)議長による議会証言が行われる。年内2回の利上げ実施の可能性を高める証言内容であれば、ドルを買い戻す動きが広がりそうだ。

英国の有権者が「離脱」を選択した場合、英ポンド、ユーロに対する円買いは継続し、ドル・円の取引でもリスク回避の円買いが再び強まると予想される。24日の欧米諸国の株式相場が大きく下げた場合、ドルは一時的に心理的な節目である100円を試す可能性がある。


■来週の注目スケジュール

6月20日(月):貿易収支、百貨店売上高、独生産者物価指数など
6月21日(火):決定会合議事要旨、イエレンFRB議長証言など
6月22日(水):参院選公示、米MBA住宅ローン申請指数、米中古住宅販売件数など
6月23日(木):英EU残留・離脱を問う国民投票、米製造業PMI、独製造業PMIなど
6月24日(金):独IFO景況感指数、米耐久財受注など

《TM》

 提供:フィスコ

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