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【特集】清水洋介氏【ネガティブ材料噴出、どうなる日本株!】(3) <相場観特集>

清水洋介氏(Argo Navis フィナンシャルコンシェルジュ)

 週明け18日の東京株式市場は再びリスク回避ムード一色に染まり、日経平均株価は一時600円安に迫る急落を演じた。注目されたドーハでの産油国会合では増産凍結の合意に至らず原油市況が急落、為替も1ドル=107円台に入る円高が進行したほか、国内では熊本県を中心に連続的に発生した大規模地震による影響が大手製造業の生産活動を直撃、まさにネガティブ材料が噴出する格好で、狼狽的な売りを誘発している。目先の試練は売りの序章かそれとも買いの好機か。日本株の今後の動向について、第一線で活躍する市場関係者に意見を求めた。

●「1万6500円中心の往来圏続く」

清水洋介氏(Argo Navis フィナンシャルコンシェルジュ)

 足もとの「原油価格の急落」、「円高進行」、それに「熊本地震」の影響などを懸念して18日の株式市場は急落した。ただ、これらの要因が、長く影響するとはみていない。

 産油国会合の増産凍結合意ができなかったことから原油価格は急落しているが、原油需要が極端に細っているわけではなく、1バレル=30ドル割れまでの下落はないと思う。また、日米金利差などを考慮すれば1ドル=105円を超える円高も考慮しにくい。熊本地震も九州地区へのインバウンド需要などに影響はあるかもしれないが、今後いつまでも続くというものではないだろう。昨年9月と今年2月に日経平均株価は安値をつけた。この際には外国人を中心とする実需の売りがあったが、いまは当時と状況は異なる。こうしたなか今後1カ月程度の日経平均株価の想定レンジは1万6500円を挟んで上下500円前後を予想する。

 当面の焦点は、今月27日から28日に予定されている日銀金融政策決定会合だ。同会合では、追加緩和の実施はあり得るとみている。量的緩和の内容は、マイナス金利の拡大に加え、国債買入額やETFの買い入れ拡大など。量的・質的緩和に金利を加えた「3次元緩和」の拡大が見込めると思う。日銀の追加緩和が実施されれば、株式市場は前向きに評価するだろう。

 物色対象は、不動産株や銀行株に注目したい。日銀の追加緩和があれば不動産株にはプラスに働く。三井不動産 <8801> や三菱地所 <8802> などや、それに日本ビルファンド投資法人 <8951> [東証R]などREIT(不動産投信)に投資妙味があるとみている。さらに、大手銀行株にも投資妙味がありそうだ。マイナス金利政策が銀行収益にはネガティブに働くとの観測が強いが、決算発表の結果、懸念したほど業績には響かなかったことが判明する可能性はある。三菱UFJフィナンシャル・グループ <8306> やみずほフィナンシャルグループ <8411> などメガバンクには再評価余地があるとみている。

(聞き手・岡里英幸)

<プロフィール>(しみず・ようすけ)
大手証券会社に入社後、外資系証券会社、外資系オンライン証券会社などを経て、証券アナリスト、テクニカル分析の第一人者として、「チャートの先生」「ストラテジスト」の役割でテレビのレギュラー出演や・雑誌の連載などで活躍。現役ディーラーとしても日々相場と対峙している。10年以上続いているメールマガジン「日々是相場」や投資に関しての講演などを行っている。2014年5月株式スクール開校、証券投資の本質、株式投資の楽しさを啓蒙している。

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