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【特集】大塚竜太氏【ネガティブ材料噴出、どうなる日本株!】(1) <相場観特集>

大塚竜太氏(東洋証券 ストラテジスト)

 週明け18日の東京株式市場は再びリスク回避ムード一色に染まり、日経平均株価は一時600円安に迫る急落を演じた。注目されたドーハでの産油国会合では増産凍結の合意に至らず原油市況が急落、為替も1ドル=107円台に入る円高が進行したほか、国内では熊本県を中心に連続的に発生した大規模地震による影響が大手製造業の生産活動を直撃、まさにネガティブ材料が噴出する格好で、狼狽的な売りを誘発している。目先の試練は売りの序章かそれとも買いの好機か。日本株の今後の動向について、第一線で活躍する市場関係者に意見を求めた。

●「ガイダンスリスク限定的、日銀緩和で上昇へ」

大塚竜太氏(東洋証券 ストラテジスト)

 東京株式市場は前週末に日経平均株価が13週移動平均線を上回り、上昇トレンド転換の兆しをみせたのも束の間、週明け18日は外部環境の悪条件が重なり期待を大きく裏切るかたちで再び下値模索の展開となった。しかし、結論から先に言えば、ここは押し目買い場を提供している公算が大きく、強気に対処したい。

 原油市況については産油国会合が不調に終わったが、過度に懸念する必要はないと考えている。既に以前のような中東の政府系ファンドが市況下落の穴埋めで日本株を売り叩くというような動きは一巡している。また、原油コストの低下は日本企業の業績にとってポジティブ材料であることを忘れてはならない。1バレル=30ドル台後半を軸とする推移であれば株式市場にはむしろ追い風だ。

 一方、為替の円高進行は17年3月期の企業業績にマイナスの影響を及ぼすことは確かだが、今月27、28日に予定される日銀の金融政策決定会合では、ETF買い入れ枠拡大などの量的な追加緩和に踏み切る可能性大とみており、仮にこの予測が正しければ、行き過ぎた円高は是正されるだろう。つれて株式市場も落ち着きを取り戻すはずだ。企業の決算発表の本格化で当面はガイダンスリスクが警戒されるものの、日経平均ベースで1万6000円を割り込むような場面があればチャンスとみる。

 熊本地震については被災された方々には心からお見舞い申し上げたいが、株式相場の見地に立った場合、天災は売りではないというのがセオリーだ。看板方式を採るトヨタ自動車 <7203> を筆頭に、大手製造業の生産活動に影響を与えているが、これは全体企業業績からみれば局地的かつ一過性であり、中長期的に収益ダメージが及ぶ話でもない。18日は建設会社や建設資材関連が買われた。安倍政権下での補正予算編成が必須とみられることで復興に対するシナリオが市場では意識されている。

 ガイダンスリスクについても、企業の17年3月期業績予想はかなり保守的であることをマーケットは織り込み始めており、むしろ決算発表が出切った5月後半は吹っ切れるのではないかと思っている。今は、業績相場よりも依然として金融相場の色彩が強い。日銀の追加緩和実施を契機に東京株式市場には今後上昇気流が発生するだろう。6月にかけて日経平均は1万8000円台を指向する展開を想定する。

(聞き手・中村潤一)

<プロフィール>(おおつか・りゅうた)
1986年岡三証券に入社(株式部)。1988年~1998年日本投信で株式ファンドマネージャーを務める。2000年から東洋証券入社し現在に至る。

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