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【特集】日経“大反転”を呼んだ「原油上昇」、徹底検証エネ価格 <株探トップ特集>

JX <日足> 「株探」多機能チャートより

―海外株式市場はリスクオン、出遅れ日本株は後を追うか―

 14日の日経平均株価は前日比500円超の上昇となり、この2日間での上昇幅は900円を超えた。この株価急伸の背景にあるのが、原油などエネルギー価格の上昇だ。17日の産油国会議を前に原油相場の動向に市場関係者の視線は集中しているが、従来の弱気見通しは、徐々に強気へと変わりつつある。しかし、その一方で慎重論も依然少なくない。果たして、エネルギー関連株の逆襲高は続くのか。

●17日の産油国会議に視線集中

 東京市場の急反騰とともに、国際石油開発帝石 <1605> など石油・エネルギー株も上昇基調を強めている。そんななか、いま市場関係者の関心を集めているのが、カタール・ドーハで17日に開かれる産油国会合だ。

 原油価格の下落を受け開催が決まった同会合では、サウジアラビアやロシアなどが参加し増産凍結に向けた話し合いが持たれる見通しだ。なかでも注目を浴びているのが、イランとサウジの動向であり、イランは1月に経済制裁が解かれ、原油増産の意欲が強い。その一方、イランが増産凍結の計画に参加しない場合、サウジは不参加となる可能性も示唆するなど、市場には産油国会合の雲行きは怪しいとの見方が出ていた。

●サウジ軟化観測で原油急上昇

 しかし、12日にサウジはイランに左右されず、増産凍結に参加するとの報道が伝えられるとともにサウジの姿勢に不安を感じていた市場参加者は、強気姿勢に転じた。このなか、12日のWTI原油先物価格は1バレル=42ドル17セントに上昇。15年12月初旬以来、約4カ月半ぶりに42ドル台を回復した。

 市場には、原油価格に対し強気見通しも台頭しており、米バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチは産油国会合で増産凍結の合意に至れば、原油価格は近い将来50ドルを上抜ける可能性があるとの見方を示した、とも伝えられている。SMBC日興証券も16年後半に向け、原油価格は50ドル前後への上昇を予想している。

「海外株式市場は、リスクオンの状態に入ってきている。そのキッカケとなった意味で原油高の影響は大きい」といちよしアセットマネジメントの秋野充成執行役員はいう。「日本株は世界的にみて出遅れ感は強く、ショートカバーの買いが相場を押し上げている」とみている。足もとで石油資源開発 <1662> やJXホールディングス <5020> など石油関連株や三菱商事 <8058> 、三井物産 <8031> など商社株が反発しているが、これも売り方の買い戻しとみられる。

●会議後は下落に転じる可能性も

 三菱UFJリサーチ&コンサルティングの主任研究員で原油市場を担当する芥田知至氏は「イランの動向に関わらずサウジが原油増産を凍結すると伝えられたことが、サプライズとなり原油高の要因となった」と指摘する。産油国会議を巡っては、依然、決裂となるようなリスク要因はあるという。それだけに「実際に増産凍結が決まれば一時的に原油価格は45ドル前後まで上昇することはあり得る」とみる。

 ただし、原油相場の上昇が継続するかとなると、警戒感は少なくない。芥田氏は「増産を凍結しても高水準の原油生産状態は続く。産油国会議後はファンダメンタルズに再度目が向かい、原油相場は下落基調に転じる可能性がある」と指摘する。

 産油国会合では、具体的な数値目標などは出されない見通しで、増産凍結で合意しても抜け道は少なくないともみられる。「45ドルを超えて上昇するには、減産にまで踏み込む道筋が見えたりしないと難しいだろう」と芥田氏は予想する。

非鉄株などに見直し機運

 もっとも、「米国株式市場が堅調に推移し、新興国や為替などのマーケットも落ち着いてきている。この状況下では、原油相場に対する不安は後退している」(SBI証券投資調査部の鈴木英之部長)との見方も少なくなく、市場では原油株などに対し戻りが期待される状況にある。

 原油相場の見直し局面に向け、石油元売りの出光興産 <5019> や昭和シェル石油 <5002> などは年初来高値に買われ上昇基調を強めている。また、原油価格との連動性が高い日揮 <1963> や千代田化工建設 <6366> などプラント関連株、丸紅 <8002> や双日 <2768> など商社株には再評価機運も膨らみそうだ。

 また、原油とともに非鉄市況も反騰しており、住友金属鉱山 <5713> やDOWAホールディングス <5714> なども戻りが期待される状況にある。


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