【特集】藤井知明氏【波乱の新年度、中小型株の健闘続くか?】(1) <相場観特集>
藤井知明氏(高木証券 企業調査部長)
4日の東京株式市場は、日経平均株価が一時、前週末比で上昇に転じる場面があったものの、外国為替市場での円高・ドル安による投資家心理の悪化に押されるかたちで、結局大引けは5日続落。円高や外国人売りに左右されやすい、主力大型株主導による全体相場の軟調地合いが続く半面、外部要因の影響を受けにくい中小型株に物色の矛先が向かっている。第一線の市場関係者に、全体相場と合わせて中小型株の今後の動向についても聞いた。
●「直近IPO株などに見直し余地」
藤井知明氏(高木証券 企業調査部長)
足もとの中小型株人気の理由には、大型株が買いにくくなり物色がシフトしたことが挙げられるだろう。1ドル=111円台へ円高が進むなか、自動車など輸出関連株は17年3月期業績の悪化を意識する状況にある。また、日銀のマイナス金利政策で銀行株も業績悪化が懸念される。このため、輸出と内需の主力株は買いにくい状況だ。
さらに外国人売りも膨らんでいる。こうしたなか、為替や外国人の動向に左右されにくい中小型株への買い人気が膨らんでいる。全体相場が軟調ななか、東証マザーズが逆行高し1000に乗せてきたことは象徴的だが、この動きはまだしばらく続くと思う。
特に、今月下旬から決算発表が本格化する。輸出企業には想定為替レートを円高方向に見直すことで、業績予想を減益で発表するところが出てくるだろう。決算発表を見極めたいとの見方は強く、大型株は買いづらい状況が予想される。
中小型株ではバイオやAI(人工知能)などさまざまなテーマ株が買われ資金の回転が効いているが、なかでも好業績の直近IPO銘柄に注目している。ここ株価が急伸したロゼッタ <6182> [東証M]や鎌倉新書 <6184> [東証M]のような銘柄を再評価する動きは続きそうだ。
具体的には、国内外格安旅行の比較サイトを手掛けるオープンドア <3926> [東証M]やスマートフォン向けゲームの企画・開発・運営のアカツキ <3932> [東証M]は、好業績を評価し一段の上値も期待できると思う。また、首都圏を中心に保育施設を運営するグローバルグループ <6189> [東証M]や障害者に対する就労支援や学習教室などを手掛けるLITALICO <6187> [東証M]は待機児童解消などのテーマにも乗り、上値を狙う動きが見込める。
さらに、CYBERDYNE <7779> [東証M]も業績の黒字化を視野に、なお一段の人気化が期待できそうだ。
(聞き手・岡里英幸)
<プロフィール>(ふじい・ともあき)
高木証券企業調査部長。1985年日栄証券(現SBI証券)入社。88年から企業調査業務を務める。その後、モーニングスターを経て2014年高木証券に入社。現在に至る。
株探ニュース