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【特集】北浜流一郎氏【波乱の新年度、中小型株の健闘続くか?】(3) <相場観特集>

北浜流一郎氏(株式アドバイザー)

 4日の東京株式市場は、日経平均株価が一時、前週末比で上昇に転じる場面があったものの、外国為替市場での円高・ドル安による投資家心理の悪化に押されるかたちで、結局大引けは5日続落。円高や外国人売りに左右されやすい、主力大型株主導による全体相場の軟調地合いが続く半面、外部要因の影響を受けにくい中小型株に物色の矛先が向かっている。第一線の市場関係者に、全体相場と合わせて中小型株の今後の動向についても聞いた。

●「小さくて強い銘柄に勝機あり」

北浜流一郎氏(株式アドバイザー)

 新年度相場は大方の予想を外れ、全体指数は大きく下に突っ込む波乱の幕開けとなった。しかし、ここで弱気になる必要などない。個別銘柄に目を向ければ悲観論どこ吹く風で上値を慕う銘柄が多いことに気づかされる。

 週明け4日の株式市場は日経平均が5日続落となった。日経平均は前週末に600円近い下げをみせておきながら、まだ下値模索の展開から抜け切れなかったことにがっかりする人もいたかもしれない。しかし、マザーズ指数は反発して1000ポイント大台を回復したし、東証1部だけをみても値上がり銘柄数は1200を超え、値下がり銘柄の倍以上あった。ここに今の相場の本質が映し出されているように思える。

 つまり、主力大型株は輸出セクター中心に、為替の円高進行という逆風が行く手を邪魔しているが、内需の中小型株にとってはそのネガティブセオリーは当てはまらない。また、発行株数5000万株以下の小型株は、外国人買いに頼らなくても上値を指向することができる好業績銘柄の宝庫でもある。

 例えば靴の量販店大手チヨダ <8185> は女性客のハートをつかみスニーカーが好調、16年2月期に2割以上の経常増益を見込み、続く17年2月期も2ケタ前後の増益が有力視される。また、猫ブームに乗って、ペット保険大手のアニコム ホールディングス <8715> なども独自の成長路線を走る企業であり、経常利益は過去最高更新基調が続く。

 健康志向を背景にスポーツクラブを展開する東祥 <8920> は“高齢化社会”をむしろ味方につけて収益成長が続く。北海道などの地域ブランドの菓子製造販売を手掛ける寿スピリッツ <2222> も業績は好調、インバウンド需要の追い風を得て先行きも明るい。

 このほか、医薬品の臨床試験受託を主力とするリニカル <2183> は16年3月期の経常利益は前の期から倍増、17年3月期も増益トレンドを維持する公算が大きい。ユニークなところでは建設現場の産廃処理を手掛けるタケエイ <2151> や、IT製品のソフト検証で高シェアを持つベリサーブ <3724> なども業績の高変化が光る企業だ。

 ここで取り上げた銘柄はいずれも一時的な押し目はあっても買い直され、全体相場のムードに左右されることなく、我が道を行く“強小銘柄”、つまり小さくて強い銘柄である。株式投資はマクロの観点も重要だが、あくまで投資するのは個別であり、内容の良い銘柄をしっかりと拾えば、それなりの成果は上げられる。

 全体相場についても日経平均1万6000円近辺は底値圏であるとみている。ここから為替が一段と急速な円高に振れる可能性は低く、外国人投資家の売りも枯れそうだ。日経平均はボックス推移としても5月にかけて1万7000円台程度への戻りは十分に可能、確かに楽観はできないが、過度に悲観してチャンスを逃さないようにしたい。

(聞き手・中村潤一)

<プロフィール>(きたはま・りゅういちろう)
慶応大学商学部中退後、コピーライター、週刊誌記者、作家業を経て株式アドバイザーへ。マネー誌、証券紙などの株式欄を担当し、ラジオ番組でも活躍。

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