【市況】来週の相場で注目すべき3つのポイント:ECB政策委、中国全人代、メジャーSQ
■株式相場見通し
予想レンジ:上限17800-下限16800円
来週は、まずは米雇用統計の結果が週明けの市場に影響を与えることになろう。市場コンセンサスは、雇用者数19.5万人増(前月は15.1万人増)だったが、結果はこれを大幅に上回る24.2万増だった。失業率は4.9%で前月と同水準にとどまった。利上げ見通しに影響を与える可能性はあるが、平均時給が下落したことで3月の利上げは困難との見方。4月もしくは6月のFOMCで政策行動を取る可能性はあるが、一先ず今回の雇用統計と市場反応については、“好いとこ取り”といったところである。
そのほか、原油相場に底入れが意識されてきている。先週、サウジアラビアは、原油相場のボラティリティを抑制するため、主要産油国と引き続き協力して取り組んでいくとの見解を示している。依然として先行きに対する不透明感が強いものの、一部のヘッジファンドなどは底入れからの反発を想定したポジションに切り替える動きもみられているようである。3月20日に産油国会談がロシアで開催される予定であり、それまでにはポジション調整的な流れからの上昇が意識されやすく、株式市場へは政府系ファンドによる売り圧力が低減するとの見方につながろう。
中国の全国人民代表大会(全人代)が5日から始まった。中国は景気の減速が鮮明となっており、2020年までの新たな5ヵ年計画で経済政策の基本方針や社会の発展に向けた重点事業といった内容が注目される。さらに、7日にEU首脳会議、ユーロ圏財務相会合が開催される。10日にECBが政策金利を発表し、ドラギ総裁が会見を行う。ECBは既に、刺激策を「見直し、再検討する可能性」があると言明しており、金融安定化に向けた、手段が注目される。先週の米雇用統計への期待が高まっていた状況から、今週はECBへの期待が株式相場の手掛かり材料といった形になりそうである。
需給面では週末に先物・オプション特別清算指数算出(メジャーSQ)を控えている。3月期末要因から大きく振れてはほしくないところでもあり、17000円辺りで落ち着きたいところか。ただし、翌週14、15日には日銀金融政策決定会合、15、16日にはFOMCを控えている。金融安定化に向けた各国の舵取りに市場の関心が集まりやすく、原油相場の安定にSQの需給も加わることで、相場の転換点を迎える可能性もありそうだ。なお、先週は価格帯別出来高で大きく膨らんでいた16000-16200円を突破し、その次に積み上がっている16900-17100円レベルを捉えている。2月の戻り高値水準辺りまでそれ程厚みはなく、売り方は買い戻しを迫られやすい需給状況であろう。
■為替市場見通し
来週のドル・円は、今月15-16日の連邦公開市場委員会(FOMC)を控え、調整目的のドル買い・円売りがやや多くなりそうだ。8日発表の日本の10-12月期実質国内総生産(GDP)改定値は、速報値から下方修正される見込みだが、これによって日本銀行による追加金融緩和への期待は高まりやすくなり、円売りがやや強まる見通し。
欧州中央銀行(ECB)が10日の理事会で一段の量的緩和を決定した場合、ユーロ売り・ドル買いが強まりそうだが、この影響でドル買い・円売りの取引が増えるとの見方が出ている。ただし、1ドル=115円台では利益確定を狙ったドル売りが増えるとの指摘もあり、ドル買いは115円台で一服する展開も想定しておきたい。
■来週の注目スケジュール
3月 7日(月):景気動向指数、米消費者信用残高、ユーロ圏財務相会合など
3月 8日(火):GDP改定値、景気ウォッチャー調査、独鉱工業生産指数など
3月 9日(水):工作機械受注、英鉱工業生産指数、米卸売売上高など
3月10日(木):オフィス空室状況、中消費者物価指数、ECB政策金利など
3月11日(金):法人企業景気予測調査、米輸入物価指数など
3月12日(土):中鉱工業生産指数、中小売売上高など
《TM》
提供:フィスコ