市場ニュース

戻る
 

【市況】来週の相場で注目すべき3つのポイント:米追加利上げ観測、米雇用統計、中国全人代


■株式相場見通し

予想レンジ:上限16800-下限16000円

来週は、G20を受けた相場展開となる。世界経済の底上げを図る成長戦略などについて議論が行われ、最近の金融市場の混乱に対し、「すべての政策手段を用いる」などとする文章を盛り込んだ共同声明を採択して閉幕した。声明は、「機動的に財政政策を実施する」と明記した。26日のNY為替市場では市場予想を上回る経済指標が相次ぎ、米国の成長見通しが強まったことを背景にドル円は一時1ドル114円台を回復している。G20の声明の評価次第では一段の円安が期待されるところであろう。

もっとも、今週は米ISM製造業景況指数の発表や米地区連銀経済報告(ベージュブック)の公表、週末には米雇用統計といった重要指標の発表が控えている。また、中国では全国人民代表大会(全人代=国会に相当)の開幕を控えており、各国の金融政策への思惑などから不安定な相場展開が続く可能性がある。原油相場についても、主要産油国による生産調整への期待感から底堅さはみられるが、依然として先安感が根強い。

ただし、日本株市場は先週末の大引けにかけての上げ幅縮小や為替の円高へのシフト等を見る限りでは、G20への期待というよりは、通過後の失望の方が警戒されている感はあった。原油相場の動向についても不透明感は根強く、強弱感も対立しやすい点は想定内といったところだろう。楽観視は出来ないものの、1バレル30ドル台を上回っての推移が続く中、政府系ファンドによる売りも落ち着いてくるとの見方にも向かいやすい。米経済指標については週末の雇用統計に関して言えば、新規失業保険申請件数の推移を考慮すると1月実績を若干上回る可能性がある。追加利上げ観測が再燃する状況にもなりやすく、円安に向かわせそうだ。

日経平均のチャート形状では、下値の堅さが意識されてきており、煮詰まり感が台頭している。価格帯別出来高では、商いの膨れている16000-16200円での攻防。ただし、これを上回った水準での時間が長かったこともあり、支持線に変えつつあるとみられる。16900-17100円辺りまでは出来高は薄いため、真空地帯といったところである。調整トレンドの中ではあるが、今後は3月期末に向けて17000円処へのリバウンドを意識したトレンドに向かう可能性が高い。

その他、週末こそ中小型株は利益確定の流れが目立った格好だが、週前半にかけての上昇に対する利益確定といったところ。一方で、2月半ばのソフトバンクグループ<9984>のストップ高以降、個人のセンチメントは良好である。また、フィンテック、ビットコインなどテーマ株物色も活発。マイナス金利によってREIT市場に資金が集中するなど、物色意欲は旺盛である。G20通過後に相場全体が不安定な状況となる可能性はありそうだが、その場合でも、テーマ性のある中小型株などへの物色は活発だろう。


■為替市場見通し

来週のドル・円は、円買い・ドル売りは縮小する可能性。米インフレ鈍化に対する市場の懸念は大幅に後退したことで早期追加利上げ観測が再浮上した。原油安に対する過剰な警戒感も低下しており、リスク回避的な円買い・ドル売りは縮小する可能性がある。2月米雇用統計の改善が期待されていることはドル相場を下支えする一因となりそうだ。

26-27日に開かれた20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議では、外国為替相場の過度な変動をもたらす通貨安競争を避けることが確認された。日本銀行による早期追加緩和への思惑はやや後退するとの見方はあるが、日米金利差のゆるやかな拡大を見込んだ投資家のドル買い意欲が大幅に低下することはないとみられる。



■来週の注目スケジュール

2月29日(月):鉱工業生産指数、建設工事受注額、米シカゴ購買部協会景気指数など
3月 1日(火):法人企業統計調査、中製造業PMI、米ISM製造業景気指数など
3月 2日(水):マネタリーベース、米ベージュブック、米ADP全米雇用報告など
3月 3日(木):日銀当座預金増減要因、中財新総合PMI。ユーロ圏総合PMI改定値など
3月 4日(金):米非農業部門雇用者数など
3月 5日(土):中全国人民代表大会など

《TM》

 提供:フィスコ

株探からのお知らせ

    日経平均