【市況】有賀泰夫の有望株リサーチ
●寿スピリッツ <2222>
―菓子ブランド化で成長に弾み―
日経平均は去年末からわずか40日で17.4%の下落となりました。今回は明らかにもはや世界は不況に突入したというサインでしょう。短期的には日経平均の下落で多くの銘柄が必要以上に売られていますが、最後は個々の企業の業績がどうか、バリュエーションがどうかということになります。
今いくら良くても景気悪化で業績が悪化するような企業の株は怖くて手が出ません。しかし、景気が悪化しても、円高が進んでも影響がない会社はやはり最後は評価されます。むしろ、景気敏感でなければ、円高や原油安はプラスの企業が多いものです。もちろん、ビジネスに特徴のない企業まで評価されるかどうかは別問題です。
独自のビジネスモデルで、着実に成長できる企業はむしろ今のように相場が安いときが本当のねらい目です。
特コラムではすでに去年来、景気の影響を受ける会社は極力避けてきました。もっとも、そうは言っても主要企業はマーケットが下がる初動段階ではマーケット並みに下げることが多いのも事実ですので、すべてが無傷ではありませんが。それでも、当コラムで紹介した多くの銘柄が、紹介時点よりも依然株価は上の水準にあります。
ちょっとフロック的ではありますが、ディフェンシブ+業績回復で注目したさくらネット <3778> (15年8月25日掲載)、業績が本格的に回復し始めた三菱食品 <7451> (9月6日掲載)、海外で成長し始めたアリアケ <2815> (9月13日掲載)などがその代表例です。
もうさくらインターネットは見送りですが、三菱食品やアリアケジャパンはまだまだ投資できる水準にあります。中にはニトリHD <9843> (10月11日掲載)のように主要企業でインデックスに引っ張られた銘柄はあますが、円高メリットの大きな会社ですので絶好の買い場となっている株もあります。
今回はそんな会社の1社として寿スピリッツ <2222> を紹介しましょう。
同社の創業ビジネスはお土産菓子の製造販売です。全国の観光地や主要駅で売っている名もないお土産菓子のことです。一方、お土産菓子にはブランド化に成功し、飛ぶように売れているお菓子もあります。赤福、萩の月、うなぎパイなどなど名前を上げればきりがありません。
そんなブランド菓子を横目に、いつかは自らもブランドを持ちたいと、今から10数年前に取り組み、大成功をおさめたのが小樽でチーズケーキ「ドゥーブルフロマージュ」を販売するルタオです。このビジネスは一つ成功すれば、後は芋ずる式にそのノウハウを主要都市で展開していけばやがてビッグビジネスとなります。第2のルタオとなりつつあるのが、東京駅でお土産菓子ナンバーワンに輝くメープルマニアです。
同社はこの10年で営業利益が10倍に拡大しましたが、ここから10年でさらに10倍を目指す勢いにあります。こんな会社であれば、日経平均の下げはちっとも怖いものではありません。
(2月12日 記)
有賀泰夫(ありが・やすお)
H&Lリサーチ代表。新日本証券(現みずほ証券)に入社後、アナリストとしてクレディ・リヨネ証券に転職。現三菱UFJモルガンスタンレー証券を経て、09年4月に独立して、H&Lリサーチを設立。ファンド向けアドバイスなどを行う。日本証券アナリスト協会検定会員。
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