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【特集】鈴木英之氏【決算佳境、波乱相場の今後を読む!】 (2) <相場観特集>

鈴木英之氏(SBI証券 投資調査部長)

 前週末1月29日に、市場が想定外だった“マイナス金利の導入”という新たな金融緩和策を日銀が発動。これを好感して日経平均株価は2日間で823円の急騰をみせた。ところが、2日からは一転して4日続落で逆に合計1045円もの下落に見舞われた。先行き不透明感の増すなか、16年3月期第3四半期累計の決算発表は既に峠を越えて、その内容が明らかになってきた。そこで、この決算結果を踏まえ、第一線の市場関係者に当面の相場見通しを聞いた。

●「反発機運も徐々に醸成、高配当利回り株など注目」

鈴木英之氏(SBI証券 投資調査部長)

 今年度の第3四半期決算は下方修正企業も多く、市場は厳しい反応を見せている。

 スマートフォン関連の需要減の影響を受けたアルプス <6770> や航空電子 <6807> など電子部品セクターは予想外の業績悪化に見舞われている。また、JX <5020> や三井物 <8031> など資源・エネルギーに絡む企業も減損や在庫評価損の計上による減益が嫌気された。

 足元の業績悪化で今年度の増益率縮小が予想され、来期は減益に転じる可能性も指摘されていることが、市場全般の下落要因に働いている。

 ただ、資源・エネルギー関連企業の特別損失は、原油価格の動向などからみて来期は今期に比べ減るとみられる。日経平均採用銘柄全体の一株当たり利益(EPS)も今期は減損などの要因で落ち込むことも考慮に入れる必要があるだろう。

 日銀のマイナス金利政策も、いまは金融機関の収益悪化など悪影響に焦点が当たっているが、滞留している資金が市中に回り出せば徐々に景気への効果は期待できる。為替は1ドル=115~125円のレンジで適正水準が探られると思う。

 今後、3月末までの日経平均の想定レンジは1万6500~1万8500円。東京市場は、ほぼ良い水準まで調整したとみている。

 個別では、マイナス金利政策の導入で高配当利回り銘柄などに妙味があるとみている。また、薬品株の業績は堅調だ。NTT <9432> には業績改善期待があるほか、ソフトバンク <9984> のような有利子負債の大きい企業には一段の金利低下でのメリットもありそうだ。

(聞き手・岡里英幸)


<プロフィール>(すずき・ひでゆき)
早稲田大学卒。リテール営業、調査部、株式部などを経て、SBI証券投資調査部長に。モーニングスター株式会社(投資調査部ゼネラル・マネジャー)へ転籍を経て2009年5月より現職。ラジオNIKKEI、ストックボイスなどで相場解説を行っている。

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