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【市況】新興市場見通し:外部環境への警戒感で売り先行、その後IPOラッシュに


先週の新興市場はまちまちとなった。原油価格の下落などを受けた米株安や円高の影響で、日経平均が一時19000円近辺まで下落するなか、新興市場でもリスク回避の売りが優勢で日経ジャスダック平均は下落した。ただ、テーマ株の一角などが買われ、相対的には底堅い展開となった。一方、相場全体が軟調ななかで材料を手掛かりにマザーズ時価総額上位のバイオ株が物色を集め、指数の上昇をけん引した。なお、週間の騰落率は、日経平均が-1.4%であったのに対して、マザーズ指数は+2.0%、日経ジャスダック平均は-0.2%だった。

個別では、マザーズのそーせいグループ<4565>が週間で26.4%高と急伸した。慢性閉塞肺疾患(COPD)治療薬の第III相臨床試験開始に加え、一部証券会社による目標株価の大幅引き上げが材料視された。東証1部への市場変更を発表したペプチドリーム<4587>は同7.5%高。その他マザーズ主力では、ミクシィ<2121>が同2.2%安と軟調な一方、サイバーダイン<7779>が同5.1%高、FFRI<3692>が同8.4%高と堅調だった。また、マザーズではインフォテリア<3853>、マルマエ<6264>、カイオム・バイオサイエンス<4583>の上昇が目立った。ジャスダック主力では、一部証券会社の新規買い推奨を受けて、セプテーニ・HD<4293>が同16.1%高と大きく上昇した。また、サイバー・セキュリティ関連のテリロジー<3356>、環境関連の環境管理センター<4657>、民泊関連のアパマンショップHD<8889>などに物色が向かった。IPOでは、4日マザーズ上場の鎌倉新書<6184>が上場2日目に公開価格の約2.8倍となる初値を付けたほか、9日マザーズ上場のラクス<3923>の初値が公開価格の約3.3倍、11日東証2部上場のランドコンピュータ<3924>の初値が同2.0倍まで上昇した。ただ、ラクスやランドコンピュータは初値形成後の株価下落が目立っている。

今週の新興市場は、前週末の米株安を受けて外部環境に対する警戒感が強まり、リスク回避の売りが先行することが想定される。その後、個人投資家主体の物色は依然活発になるとみられるが、IPOラッシュが本格化し需給面の重しとなるだろう。米連邦公開市場委員会(FOMC)や日本銀行の金融政策決定会合が予定されているため、金融政策の動向と市場への影響も注視したい。

強い値動きを見せているテーマ株に加え、そーせいグループやセプテーニ・HDのように市場で高評価を付与されている銘柄は買い安心感があり、引き続き物色を集めるだろう。なお、今週は14日にサンバイオ<4592>、ファーストロジック<6037>、15日にエニグモ<3665>、スリー・ディー・マトリックス<7777>などが決算発表を予定している。

IPO関連では、ダブルスタンダード<3925>(15日、マザーズ)、ツバキ・ナカシマ<6464>(16日、東証1部)など7社が新規上場する。17日に2社、18日に3社の上場が予定されており、本格的なIPOラッシュとなる。ブックビルディングでは東証1部上場で公開規模の大きいツバキ・ナカシマやフリュー<6238>がやや苦戦したと伝わっている。一方、公開規模がさほど大きくなく、テーマ関連に位置付けられるダブルスタンダードやアークン<3927>の人気が高まっている。ただ、多数の新規上場を受けて資金的な制約や初値買いの分散が見込まれ、初値は直近IPO案件と比べ落ち着きを見せてくるだろう。

《FA》

 提供:フィスコ

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