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【市況】国内株式市場見通し:年末高を意識したセンチメントは日増しに強まるか


■一時2万円回復も、小粒なECB緩和にハシゴ外される

先週の日経平均は下落。2015年7-9月期の法人企業統計で設備投資の大幅な伸びが確認されたことが買い安心感につながり、週前半には約3ヶ月半ぶりに節目の2万円を回復する局面をみせた。しかし、その後は欧州中央銀行(ECB)定例理事会や米雇用統計などの重要イベントを控え、こう着感の強い相場展開に。注目されていたECB理事会では、預金金利の0.10%引き下げと債券買い入れ措置の6カ月延長を発表。しかし、市場が期待したほどの規模ではなかったことが失望感につながり、結果を受けた欧州市場は全面安。これが米国市場のほか、東京市場へも連鎖する格好となり、週末の日経平均は一時19500円を割り込む急落となった。

■米雇用統計を受けて週初リバウンドへ

今週は4日発表の米雇用統計の結果を受けた米国市場の影響を受けてのスタートとなる。雇用統計については、非農業部門就業者数(季節調整済み)は前月比21.1万人増加したほか、10月と9月の雇用者数も上方修正された。これにより米連邦準備制度理事会(FRB)は次回15・16日の連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げすることはほぼ確実となり、4日の米国市場は金融政策の不透明感払拭を好感し、NYダウは369ドル高と、前日のECBショックの下落部分をあっさり埋めてきている。シカゴ日経225先物清算値は大阪比250円高の19710円と切り返しをみせており、週明けの東京市場はリバウンドが期待される。

■メジャーSQ控え不安定な展開か

また、週末には先物・オプション特別清算指数算出(SQ)を控えている。先週末の急落によって少なからず需給面に影響を与えていると考えられ、先物主導による不安定な相場展開になりやすいところ。SQが通過すると機関投資家は本格的な休暇に入るだろう。商いが細りやすいなか、全体としても方向感が出難くなる。

■個人の需給は良好、郵政グループやメガバンク注目

一方で、郵政グループ3社の底堅い値動きをみても、個人主体の需給状況は良好である。相場全体として上値追いは慎重になったとしても、先高期待は後退しない。そのため、物色意欲は強い一方で、リスクを避ける狙いから、中小型株や相対的に出遅れている銘柄等の水準訂正を狙った流れに向かいやすい。

そのほか、年内のNISA(少額投資非課税制度)枠の使い切りを想定し、利回り等を考慮して郵政グループのほかメガバンクなどの動向も注目される。なお、7日に日銀の黒田総裁がパリ・ユーロプラス・フィナンシャル・フォーラムで講演が予定されている。緩和政策に関する発言等が出てくるようだと、改めて日経平均の2万円突破が意識されてくる可能性はあるだろう。

■7-9月期GDP改定値、法人企業景気予測調査など注目

経済指標では8日に7-9月期の国内総生産(GDP)改定値が発表されるほか、10月の国際収支が発表、11月の景気ウォッチャー調査、11月の中国の貿易収支、7-9月期のユーロ圏GDP改定値が発表される。9日には10月の機械受注、10日に10-12月期の法人企業景気予測調査、11日に11月の米小売売上高が発表される。注目されるところでは、8日の7-9 月期のGDP改定値及び10日に発表される10-12月期の法人企業景気予測調査など。先週発表された7-9月期の法人企業統計では設備投資の大幅な伸びが確認されたことが買い安心感につながっていた。今週発表される7-9月期のGDP改定値では設備投資が上方修正され、実質GDP は前期比年率0.1%増と速報値の0.8%減から上方修正されるとの市場コンセンサスである。そのため、改めて設備投資の回復を好感した流れに向かわせる可能性があるとみておきたい。

■来週の日銀短観、金融政策決定契合への思惑

10-12月期の法人企業景気予測調査については、翌週(14日)に発表を控えている12月調査の日銀短期経済観測(短観)の先行指標として注目されるほか、17・18日に控えている日銀の金融政策決定会合への思惑にも波及する。足元で後退している追加緩和への期待感なども再燃する可能性があり、年末高を意識したセンチメントは日増しに強まることも考えられよう。

《FA》

 提供:フィスコ

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