【市況】富田隆弥の【CHART CLUB】 「重要イベント、重要変化日が目白押し」
株式評論家 富田隆弥
◆11月30日に136円安1万9707円と下落し下値抵抗線を割った日経平均株価だが、翌12月1日は264円高の2万0012円と急反発、2万円を回復し、師走相場への意気込みを感じた。日銀は11月30日もETFを362億円購入、「下げないPKO相場」を演出している。そして、ボーナスにクリスマスと、この時期は証券業界もマスコミも投資家もマインド高めるところだけに期待もウナギ登りだろう。
◆だが、11月30日の下落で日足は下値抵抗線を割った。株価は2万0012円(12月1日)と再び戻り高値示現だが、9月29日からの戻り歩調でテクニカルは過熱を漂わせており、高値警戒の領域に来ていることも忘れてはならないだろう。
◆言うまでもなく、今月は需要イベント目白押し。3日のECB理事会はドラキ総裁が示唆した如く追加緩和に動いた。しかし、その後のマーケットは為替も含めて波乱含み。緩和内容の内容が不十分ということか、それとも出尽くしということか、詳細は市場が教えてくれるだろう。そして、4日はOPEC総会、米雇用統計、11日に日本のSQ、16日は利上げが焦点となるFOMC、18日に日銀決定会合と、クリスマスまで気の休まる暇がない。原油や商品指数の軟化も続いている。日経平均は12月第2週~第3週と変化日を迎える。
◆「アメリカの利上げは織り込んだ」「緩やかな利上げになる」とイイとこ取りの楽観論が多く聞こえてくる。それだけ皆が強気に傾いている証しだが、そうしたところに落とし穴は待っている。利上げでマネーゲームの資金が流れを変えるのか、為替や商品市場、新興国などへ影響がどう出るか、その答えは誰も分からない。
◆サブプライム序盤の2007年12月はSQのところが戻り高値になった。そこで買い戻し(ショートカバー)が一巡したということだ。今年もどこで頭打ちしてもおかしくなく、そのキッカケになるようなタイムスケジュールが続くということ。それだけに、師走は日経平均の「陰転信号」に注視しながら慎重に歩んで行きたい。
(12月3日 記、毎週土曜日9時に更新)
情報提供:富田隆弥のチャートクラブ
株探ニュース