【特集】馬渕治好氏 【ショック安後の相場を読む】 (3) <相場観特集>
馬渕治好氏(ブーケ・ド・フルーレット代表)
4日の東京株式市場は「ドラギショック」ともいうべき波乱相場展開となった。3日に行われた欧州中央銀行(ECB)理事会では追加金融緩和を決めたが、その内容は市場の期待に届かず、欧米株式市場が軒並み急落、その衝撃は東京市場にも波及した。日経平均株価は435円を超える大幅安で、にわかに年末高のシナリオにも暗雲が漂う。これをマーケット関係者はどうみているのか。年末年始に向けた相場見通しについて、馬渕治好氏(ブーケ・ド・フルーレット代表)にずばり意見を聞いた。
●「2万円乗せから一段高のシナリオ不変」
3日のECB理事会では追加緩和は実施されたものの、市場の期待に届かなかったとの理由で欧州株市場が軒並み急落、米国株市場、そして東京市場にも“狼狽売り”の連鎖が及んだ。しかし、結論から言えばこの下げは格好の拾い場となるとみている。
今回、ECBが決定した追加緩和は、資産買い入れ期間延長と銀行のECB預け入れに際してのマイナス金利の上乗せで、いずれも事前の市場の予測範囲。債券買い入れ額を据え置いたこともあって市場の失望売りを誘発したという解説がなされているが、多分に後講釈的な要素があり、はっきり過剰な反応であったと思う。
推測するに、欧州株市場でECBの結果をみて売りプログラムを発動したのは全体に占める割合としてはわずかであり、イベント前に買った向きが結果にかかわらずイベント後に売ると決めていた動きや、株価の下げにつられ不安心理からキャッシュ化を急いだ動きなどが折り重なり、今回の波乱相場を演出したとみている。
したがって、足もとの急落は一過性のものであり、早晩下げ過ぎ是正の買い戻しが入る公算が大きいとみる。年内に日経平均は再度2万円台を回復し、さらに一段高を目指す展開を想定している。輸出主力株が下押す場面はリバウンド狙いで買い向かう好機だ。トヨタ <7203> 、ホンダ <7267> 、ブリヂストン <5108> などの自動車関連や、村田製 <6981> 、アルプス <6770> など高い商品競争力を持つ電子部品メーカーなどは有力な対象となる。
(聞き手・中村潤一)
<プロフィール>
1981年東京大学理学部数学科卒、1988年米MIT修士課程終了。米国CFA(証券アナリスト)。マスコミ出演は多数。10月2日に近著「ゼロからわかる 時事問題とマーケットの深い関係」(金融財政事情研究会)発売。日本経済新聞夕刊のコラム「十字路」の執筆陣のひとり。
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