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【特集】馬渕治好【郵政3社上場】緊急特集_04 /下値不安少ないがセカンダリー参戦は慎重に

馬渕治好
ブーケ・ド・フルーレット代表 馬渕治好氏

 郵政グループ3社の公開価格はいずれも仮条件の上限で決まったが、率直な感想として妥当な水準という印象を受ける。PBRは0.4~0.7倍、配当利回りも日本郵政<6178>とゆうちょ銀行<7182>が3%以上、かんぽ生命保険<7181>も2%台半ばと株主として保有するには下値に対して買い安心感がある。

 ただ、PERで見た場合は市場平均並みであり、中小型成長株のような業績の大幅な伸びが見込めないことを考慮すれば割安とはいえない部分もある。したがって、ファンダメンタルズに照らし合わせた判断としては、セカンダリーで相応の人気は確保するものの、公開価格から急速な水準訂正が行われるとも考えにくい。もっとも、個人投資家の占める比率が極めて高水準であり、セカンダリーでも個人投資家の注目度は必然的に高いことが想定され、売り惜しみの動きが出れば需給先行で意外高に走る可能性も否定はできない。

 セカンダリーでの参戦を考える投資家へのアドバイスとしては、中長期的な保有をベースとした買いであれば有効な投資対象となるが、短期回転売買での値幅取りを狙うのには適さないということ。PBRや配当利回りが買いの拠りどころとなるため、株価が大きく公開価格を上回るような人気となった際には、無理に買いに行かず様子を見る冷静さを持ちたい。押し目形成場面でも自分がこの水準であれば買ってもよいと思う水準まで手を出さず、それより上では買わない勇気も必要だろう。

 今回の郵政3社の上場が全体相場に与える影響については、超大型民営化株であることは確かだが、資金の一極集中による全体相場波乱の火種とはなりにくいとみている。今回のIPOはNISA(少額投資非課税制度)枠を通じて、株式投資経験の浅い初心者の新たな資金を誘導することで、むしろ市場活性化の一助となる可能性もある。

<プロフィール>

1981年東京大学理学部数学科卒、1988年米MIT修士課程終了。米国CFA(証券アナリスト)。マスコミ出演は多数。10月2日に近著「ゼロからわかる 時事問題とマーケットの深い関係」(金融財政事情研究会)発売。日本経済新聞夕刊のコラム「十字路」の執筆陣のひとり。

編集企画:株経通信(株式会社みんかぶ)   【郵政3社上場】特集より

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