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【通貨】遠藤寿保【外国為替】秋の相場観特集_02 /株価上昇なら1ドル=122~124円も

遠藤寿保氏
ワイジェイFX アライアンス&ブランド推進室 FXエバンジェリスト 遠藤寿保氏

 秋相場の焦点としては、(1)米国の利上げ時期、(2)日銀の追加緩和、(3)世界株価不安定、が上げられる。米国の利上げだが、9月のFOMCでは、「米国利上げ見送り、ハト派声明文」となったが、9月末のイエレンFRB議長発言では、年内利上げを強調。しかし、10月2日の米国雇用統計は、ネガティブサプライズとなる予想20.1万人に対して14.2万人(過去2カ月下方修正)となりドル円は118.68円までの下落となった。その後120円台を回復したが、年内米国利上げに黄色信号点滅となり不透明感は継続であり、結論が出ない場合、ドル円は120円を挟むレンジ相場が継続しそうである。

 次に日銀の追加緩和であるが、日経平均株価が不安定の中、11月4日には郵政3社の上場を控えていることもあり、日本政府としても無策というわけにはいかず、10月30日の日銀金融政策決定会合では、直近の流れから追加緩和が予想される。追加緩和されれば、日経平均株価は2万円回復を目指し、ドル円も124円前後までの上昇の可能性が出てくる。

 次に、世界的な株価の不安定であるが、その中でも中国景気後退懸念、また独VW社の排ガス規制偽装問題は、かなり尾を引く内容であり、何かにつけてぶり返される可能性がある。その度にリスク回避の円買いとなるのでドル円下落に注意が必要となりそうだ。

 これら要因の中、テクニカル的には、ドル円は2011年10月31日に最安値である75.54円を付けてから、2012年9月以降のアベノミクスによる「異次元緩和」で2015年6月5日の125.85円まで、約50円上昇し、ここにきて若干停滞気味となっている。8月24日の株式連鎖下落で116.17円を付けたドル円だが、この上昇幅に対し19%下落したに過ぎず、上昇トレンドを壊したとは言えない。10月から11月にかけて、日経平均株価をはじめとして株価が上昇基調となれば、ドル円の下値は限定的となり122円から124円までの上昇の可能性が出てくる。しかし、株価が下落基調となった場合は、リスク回避の流れが強くなり、8月末に付けた116円台を割込み50円上昇幅の38.2%戻しである106.64円近辺までの警戒は必要になる。

<プロフィール>

1998年、ひまわり証券で日本初となるFX事業チームに参加。2007年、FXZERO取締役を経て、現在ワイジェイFXアライアンス&ブランド推進室に所属。98年以降、投資家向けのコンテンツ作りやFXの企画等に携わった経験を生かし、FXエバンジェリストとして、一般投資家向けセミナーや情報配信として、ストックボイス「FXフォーカス」への出演(東京MXTV)やヤフーファイナンスの株価予想に寄稿。また、FX雑誌のコラム執筆等も行っている。

編集企画:株経通信(株式会社みんかぶ)   【秋の相場観】特集より

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