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【通貨】冨田康夫【外国為替】秋の相場観特集_01 /中国経済落ち着けば、ドル高・円安推移

冨田康夫
日刊株式経済新聞 編集長 冨田康夫

 10月2日に発表された米9月の雇用統計が、事前の市場予想を大幅に下回るサプライズな内容となったことを受け、米利上げスタート時期について年内見送り観測が高まるなど、その開始のタイミングについて不透明感が増してきた。しかし、現状で確実にいえることは、遅かれ早かれ米国は利上げに踏み切る方向にあり、日本やEU(欧州連合)は逆に緩和のタイミングをうかがっている状況にあるという点だ。つまり、多少の上下動はあるにせよ、基本的にはドル高・円安方向で推移する可能性が高い。

 米9月の雇用統計は、非農業部門雇用者数が市場予想の約20万人に対して14万2000人となり、ドル円は一時118円60銭台まで下落した。ただ、その後はすぐに雇用統計発表前の水準まで戻り、ほぼ1ドル=120円台前半での推移となっている。

 米金利の引き上げ開始の鍵を握るのは、中国経済の先行きだ。8月の突然ともいえる中国人民元の切り下げは、世界同時株安の大きなきっかけとなり、中国が国内景気の先行き不安を自ら認めるものと受け止められ、米国経済へのマイナス面での波及効果への懸念が強まり、利上げ先送りの要因ともされてきた。

 来年からの第13次5カ年計画を前にして、10月中に中国共産党の重要会議(五中全会)が開催される。ここで財政出動を含めた景気対策が打ち出されれば、世界的な景気減速傾向に一定の歯止めがかかる可能性がある。

 年末までのドル円の想定レンジは、1ドル=120円を軸に上下4円幅の、1ドル=116~124円を想定している。

編集企画:株経通信(株式会社みんかぶ)   【秋の相場観】特集より

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