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8424 芙蓉総合リース

東証P
13,590円
前日比
+185
+1.38%
PTS
-円
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
9.5 0.96 2.87 9.19
時価総額 4,116億円
決算発表予定日

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芙蓉リース Research Memo(4):業績進捗や営業資産の積み上げ等から判断して中計達成は十分に可能


■決算動向

(4)中期経営計画の進捗

芙蓉総合リース<8424>は、今期(2017年3月期)を最終年度とする中期経営計画「Value Creation 300」を推進している。「課題解決・付加価値創造による収益力の強化」「戦略的なリスクテイク・出資・M&Aによる領域拡大」「みずほ連携による顧客基盤の強化」「グループ戦略による事業基盤の強化」をビジネス戦略の柱に掲げるとともに、「航空機ビジネス」、「不動産リース」、「ファイナンス事業」、「海外事業」、「リテール事業(SFC 事業)」、「再生可能エネルギー」、「会計サービス事業」の7つの戦略分野の強化を図ることにより、「収益性の高い事業ポートフォリオ」の構築に取り組んできた。

前期までの進捗が当初計画を上回るペースとなったことから、期初に目標数値の上方修正を行っており、営業資産残高2兆円(修正幅+1,500億円)、経常利益320億円(修正幅+20億円)、ROA1.4%以上(変更なし)を目指す内容となっている。

各戦略分野の目標と進捗は以下のとおりである。

a)航空機ビジネス
2019年3月期※1の運航機体数100機体制(その内、自社保有機体数35機)を目標としている。今上期は自社保有機体2機、JOLCO※2 5機の計7機を組成した。その結果、2016年9月末の運航機体数は85機(その内、自社保有機体数17機)となり、計画を上回る進捗となっている。なお、自社保有型2機については、同社初の中南米エリアとなるアエロメヒコ航空(メキシコ)のほか、エバー航空(台湾)向けとなっている。

※1航空機ビジネスのみ2019年3月期の目標設定となっている。
※2コールオプションの付いた日本型オペレーティングリース。

b)ファイナンス事業
2017年3月期の営業資産残高5,500億円(+1,100億円の上方修正後)を目標としている。ポートフォリオ・バランスを保ちながら営業資産を積み上げてきたが、マイナス金利施策等の影響で競合が激化していることから、採算性を考慮して積み上げペースを鈍化(契約実行高は前年同期比8.1%減)させており、2016年9月末の営業資産残高は5,147億円(前期末比243億円増)と緩やかな伸びにとどまっている。ただ、足元では下げ止まり感もみられることから、あくまでも採算性を重視しながら、目標達成に向けて積み上げていく方針である。

c)海外事業
2017年3月期における海外現地法人の営業資産残高900億円(+100億円の上方修正後)を目標としている。ただ、2016年9月末の営業資産残高は現地通貨ベースでは増加しているものの、円高の影響(約15%のマイナス要因)により円ベースでは710億円(前期末比4.6%減)と縮小した。中国やマレーシアなどアジア向けが好調であったほか、非日系向けのシンジケートローンの拡大、米国のリース会社との提携なども寄与したようだ。

d)再生可能エネルギー
自社事業としてメガソーラーの開発を進めており、2017年3月期の太陽光発電所の稼働数30基、総出力100MWを目標としている。今期は稼働済の29基(総出力76MW)が期初から計画どおりに利益貢献を開始しており、年間で約10億円を見込んでいる。また、現在の開発状況については、20MW超の大型ソーラー3基が進行中(そのうち、1基は着工済)であり、順次稼働を開始することにより来年度以降、再び規模拡大へ向かう見通しである。

e)不動産リース
2017年3月期の年間成約額900億円(+480億円の上方修正済)を目標としている。今上期の成約額は前年同期比106.3%増の553億円(通期計画に対する進捗率は61.4%)と大幅に拡大した。同社の得意とする商業設備(大型ショッピングセンター等)のほか、インバウンド需要を背景に高稼働の続くビジネスホテルの建物リースが好調であった。建設用地の紹介やテナントの斡旋を行う「同社主導型」案件が増加していることが背景となっているようだ。また、2016年4月には、高齢者施設((株)ニチイケアパレス向け)の第1号案件がオープンすると、10月には有料老人ホーム建設プロジェクト※への参加を決定しており、「医療・介護分野」などの新たな市場開拓にも取り組んでいる。

※一般社団法人環境不動産普及促進機構(Re-Seed機構)などが出資するプロジェクト。

f)リテール事業
2017年3月期のベンダーリース成約額1,530億円(-220億円の下方修正後)を目標としている。ここ数年、採算の悪い住宅設備の取扱いを意図的に縮小してきたことでマイナス傾向が続いてきたが、今上期の成約額は前年同期比6.0%増の765億円(通期計画に対する進捗率は50.0%)とプラスに転じた。住宅設備の取扱いは引き続き縮小(前年同期比48%減)したものの、主力の事務用機器が前年同期比20%増、情報機器が同11%増と好調であった。シャープファイナンスにおける営業体制の見直し(大阪から首都圏へのシフト)やグループ内連携の強化など地道な施策が奏功した。

g)会計サービス事業
固定資産の現物管理サービスとリンクしたリース会計システム「FLOW Cube+」をSAPジャパン(株)と共同開発し、今期中のサービス開始を目指している。本サービスの導入により、ライセンス料による安定収益源が期待できるが、それ以上に重要なのは、顧客の囲い込みや他社からのリプレースが狙えるところである。サービス開始に向けて順調に進捗しているようだ。

弊社では、外部要因の影響(マイナス金利政策や円高など)により、一部(ファイナンス事業、海外事業)に遅れがみられるものの、総じて計画どおりに拡大していることから、同社の成長戦略は順調に進展しているものと評価している。

(5) 2017年3月期の業績予想

中期経営計画の最終年度となる2017年3月期の業績予想について同社は、期初予想を据え置き、売上高を前期比3.3%増の5,100億円、営業利益を同18.8%増の290億円、経常利益を同9.6%増の320億円、親会社株主に帰属する当期純利益を同11.7%増の195億円と見込んでいる。また、期末の営業資産残高は2兆円(前期末比7.3%増)を想定しており、期初に上方修正した中期経営計画(営業資産残高及び経常利益、ROA)を達成する見通しとなっている。

弊社では、上期実績や戦略分野の進捗、営業資産の積み上げ等から判断して、同社の業績予想及び中期経営計画の達成は十分に可能であるとみている。来期以降の成長に結びつく取り組みにも注目したい。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)

《YF》

 提供:フィスコ

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