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【特集】最高値への道、夢の2万ドル目前「NYダウ」と金利上昇の真実 <株探トップ特集>

NYダウ <週足> 「株探」多機能チャートより

―始まったグレートローテーション、債券売り・株買い「資金シフト」が意味するもの―

 日経平均株価は12日に1年ぶりに1万9000円台を回復した流れに乗り、この日も上昇し6日続伸と上値追い基調を強めている。この東京株式市場の急上昇の背景にあるのが、米国市場の一大変貌だ。大統領選を契機に米株式市場の急騰が始まった格好だが、市場には「米国の株高は超長期的なものであり、一過性ではない」(アナリスト)との見方が広がっている。

●16年は2つの大台塗り替えも? 企業業績の好転も追い風

 12日のダウ工業株30種平均指数は6日連続の最高値更新。「夢の2万ドル」まであと約200ドルに迫った。年初からのNYダウの上昇率は約14%に達しているが、特に、11月8日の米大統領選後の上昇は顕著でこの1ヵ月間の上昇率は約8%となっている。

 NYダウの1万9000ドル乗せは11月22日のこと。年内にNYダウが2万ドル乗せを達成すれば、16年は年間で「1万9000ドルと2万ドル」の大台を塗り替えたことになる。

 このNYダウ急上昇の要因は何か。「次期トランプ政権への期待が大きいが、足もとで企業業績が好転している面も見逃せない」と第一生命経済研究所の桂畑誠治主任エコノミストは言う。さらに「債券市場から株式市場への資金シフトによるグレートローテーションが起きており、資金が米株式市場に集中している」と日本アジア証券の清水三津雄ストラテジストは指摘する。

●長期金利に底打ち機運、「債券売り・株買い」の動き活発化

 11月8日に実施された米大統領選で勝利した共和党のトランプ氏は「10年間で1兆ドル(約115兆円)のインフラ投資」「連邦法人税の35%から15%への引き下げ」、それに「金融規制改革法(ドッド・フランク法)緩和」などを掲げた。この政策に対する期待が、株式市場で「トランプ・ラリー」を巻き起こしたことは間違いない。

 しかし、さらに見逃せないことはトランプ氏の勝利後、米10年債の利回りが急上昇していることだ。7月6日に1.31%と史上最低だった長期金利は今月12日には一時2.5%台と2年2ヵ月ぶりの高水準に達した。米国市場には「過去30年にわたった金利低下による債券市場の強気相場は終わった」との見方が出ており、「新たに株式の時代が到来した」との声が沸き上がっている。

 国内大手証券のテクニカルアナリストは「米長期金利は、現在120ヵ月移動平均線が2.775%前後にあり、この120ヵ月線(10年)は1985年5月以降、常に戻りのメドになってきた最重要の節目」とリポートで指摘している。過去31年にわたり抵抗線となっていた長期金利のフシ目の突破が近づいており、ここを抜ければ、米国の「金利上昇時代」が鮮明になるという見方だ。ここに「債券売り・株式買い」の根拠が見て取れる。ただ、米長期金利の見通しに関しては「米国景気が再度、減速すれば長期金利も再度、低下に向かう余地はある」(桂畑氏)と慎重な見方もあり、依然、強弱感も対立している。

●新年1月の就任式がポイント、17年は2万2000ドル超へ上昇も

 こうしたなか、NYダウの2万ドル乗せは、目前に迫っており時間の問題だが、そのなか当面、注視するべきは「トランプ・ラリー」の当面の有効期限とその内容の変化だ。1月20日の大統領正式就任を意識し、「株式市場は新年に入ってからは様子見姿勢となる可能性も」(市場関係者)との見方があるほか、「今後、トランプ氏の公約の実現性が問われてくる」(同)ことも考慮しなければいけない。

 米国では、インフラ関連や金融株の上昇が目立ったが、「今後も重厚長大企業の復活の動きが続くのではないか」と清水氏はいう。また、トランプ氏の公約に関しては、議会で法案を通すには民主党の一部の賛成も必要となり、修正に至るものも少なくないともみられている。

 このため、どの公約が通り、どれが修正を余儀なくされるかを探っておく必要がある。具体的には「比較的法案が通りやすいのは、インフラ整備関連の法案、所得税や法人税の減税法案。一方、金融関連ではドッド・フランク法の大幅な規制緩和は難しいのではないか」(桂畑氏)との見方もある。

 今後も、市場の波乱は予想されるものの、米国の企業業績にも明るさが見え、金利市場が大変動するなか、新年もNYダウは一段高を期待する声は少なくない。市場には2017年は2万2000ドル超を予想する見方が出ている。

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