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7447 ナガイレーベン

東証P
2,344円
前日比
-30
-1.26%
PTS
-円
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
24.2 1.78 2.56 1.16
時価総額 838億円
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ナガイレーベ Research Memo(6):2023年8月期は前期比8.5%の営業減益となったが計画値を上回って着地


■業績動向

1. 2023年8月期の連結業績概要
ナガイレーベン<7447>の2023年8月期の連結業績は、売上高が前期比3.2%減の17,181百万円、営業利益が同8.5%減の4,604百万円、経常利益が同9.1%減の4,673百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同14.6%減の3,226百万円となった。親会社株主に帰属する当期純利益の減益幅が大きいのは、前期に特別利益を計上したことによる。

売上高は、計画値(前期比2.6%増)は下回ったが、これは案件そのものが消失したわけではなく、期ずれが発生したことによる。期ずれが発生した主な要因は、諸物価の上昇が続く中で診療報酬は据え置かれている(前回診療報酬の改定は2022年春)ことなどから病院の経営環境が悪化し、リース物件等を先延ばしする傾向が強まったためである。

利益面では 売上総利益率は前期比0.5ポイント低下し43.9%となったが、期初予想(41.9%)及び第2四半期の実績(42.9%)を上回った。この結果、売上総利益は同4.2%減の7,547百万円となった。売上総利益の増減要因は、減収によるもので250百万円減、利益率低下によるもので84百万円減であった。さらに利益率低下の要因分析を行うと、為替(円安)の影響で380百万円減(2022年8月期114.1円/米ドルに対して、2023年8月期は131.5円/米ドル)、加工賃の上昇による影響で90百万円減、海外生産比率の上昇(2022年8月期は51.9%に対して、2023年8月期は53.2%)による効果で90百万円増となった。また海外物流費(売上原価に算入)が、一時期の混乱(航空便の利用等)から落ち着いたことで85百万円の減(増益要因)となったが、原材料費の上昇で150百万円の減益となった。一方で、2023年2月から製品の価格改定を進めたことにより、300百万円の増益となった。

販管費は前期比3.2%増の2,942百万円となったが、主に国内外での営業活動の回復等による旅費交通費の増加24百万円、広告宣伝費の増加63百万円などによる。設備投資額は206百万円(建物関連122百万円、IT設備24百万円、物流設備28百万円、生産設備30百万円等)となり、減価償却費は272百万円となった。

市場環境としては、新型コロナウイルス感染症の分類が2023年5月から5類へ変更されるたこともあり、混乱状態からは脱却し安定期に入りつつあると言える。一方で、2022年4月からの診療報酬改定によって診療報酬が+0.43%、薬価等が-1.37%となったほか、看護職員・介護職員の処遇改善により平均賃金が引き上げられた(2022年2月から+1.0%、10月から+3%)が、その後のインフレ傾向(諸物価上昇)により医療機関の経営圧迫が懸念されている。事実、既述のように同社製品への発注にも期ずれが生じており、今後の動向は注視する必要がありそうだ。

(1) アイテム別、市場別売上高
コア市場の売上高は、前期比4.5%減の12,438百万円となった。第2四半期までは、新コンセプトブランド「EARTH SONG(アースソング)」による物件更新と新規物件の獲得が順調に推移したが、下期に入ってからはインフレに伴う物価高に加え人件費アップによる医療機関の経営環境が大きく悪化したことに加えて、2023年2月からの価格改定も影響して、コア市場の更新物件を中心に遅れが発生し、前期比では減収となった。

アイテム別では、ヘルスケアウェアが同3.1%減の9,395百万円、ドクターウェアが同5.2%減の2,517百万円、ユーティリティウェア・他が同21.4%減の525百万円となった。

周辺市場の売上高は、前期比0.5%増の4,509百万円となった。アイテム別では、注力している患者ウェアが同2.3%増の2,938百万円、手術ウェアが同2.7%減の1,571百万円となった。海外市場の売上高は同1.1%減の234百万円とほぼ横ばいであった。

(2) 商品別売上高
ハイエンド商品ではエレガンスライン商品の強化に注力したことなどから、売上高は前期比9.4%増の1,389百万円となった。高付加価値商品では新コンセプトブランド「EARTH SONG」の市場浸透は順調に進んだが、期ずれの影響により売上高は同3.5%減の9,908百万円となった。付加価値商品では他社物件の獲得及び量販品からの引き上げ移行を推進したことなどから上期は比較的順調に推移したが、下期には案件の先送りが見られ、売上高は同5.3%減の5,164百万円に止まった。量販品は、営業活動をあまり積極的に行っていないこともあり同4.5%減の719百万円となった。ハイエンド商品が伸びていることが、予想以上の売上総利益率改善に寄与している。


財務内容は堅固、手元の現金及び預金は271億円と高水準。自己資本比率は91.2%
2. 財務状況
財務状況は引き続き安定している。2023年8月期末の資産合計は47,377百万円となり、前期末比29百万円増加した。流動資産は38,995百万円となり同92百万円増加したが、主な要因は現金及び預金の減少1,401百万円、電子記録債権を含む受取手形及び売掛金の減少259百万円、棚卸資産の増加1,173百万円などによる。棚卸資産が増加したのは既述のように下期において期ずれ案件が発生したことによるもので、特に懸念される内容ではない。一方で、固定資産は8,382百万円となり同63百万円減少したが、主な要因は減価償却による有形固定資産の減少69百万円などによる。

負債合計は4,163百万円となり前期末比929百万円減少した。主な要因は未払法人税等の減少190百万円などによる。純資産合計は43,214百万円となり同958百万円増加したが、主な要因は親会社株主に帰属する当期純利益の計上による利益剰余金の増加1,290百万円、自己株式の増加による減少363百万円などによる。この結果、2023年8月期末の自己資本比率は91.2%(前期末は89.2%)となった。

3. キャッシュ・フローの状況
2023年8月期の営業活動によるキャッシュ・フローは1,812百万円の収入であったが、主な収入は税金等調整前当期純利益の計上4,671百万円、減価償却費272百万円、売上債権の減少67百万円などで、一方で主な支出は棚卸資産の増加1,173百万円であった。投資活動によるキャッシュ・フローは3,417百万円の収入であったが、主な収入は定期預金の払戻(ネット)3,700百万円などで、主な支出は有形固定資産の取得258百万円であった。財務活動によるキャッシュ・フローは2,935百万円の支出となったが、主な支出は配当金の支払額1,935百万円、自己株式の取得(預託金含む)1,000百万円であった。この結果、期間中の現金及び現金同等物は2,298百万円増加し、期末の現金及び現金同等物の残高は7,759百万円となった。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)

《SI》

 提供:フィスコ

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