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【特集】植木靖男氏【日経平均3万円大台攻防、ここは買い場か見送りか】 <相場観特集>

植木靖男氏(株式評論家)

―米株市場は下値模索、中東情勢にらみ不透明感募る市場―

 週明け30日の東京株式市場は日経平均株価が反落し、3万円トビ台で売り買いを交錯させる展開となった。前週末の欧米株市場が総じて軟調だったほか、米国株市場ではNYダウが大幅安で3日続落と下値模索の動きを強めており、それに追随する動きを強いられている。ここは押し目買い好機かそれとも見送りが妥当なのか、投資家としても迷うところ。足もとの株式市場をどうみているのか、長きにわたり証券界で活躍している株式評論家の植木靖男氏に話を聞いた。

●「11月相場は切り返しトレンドへ」

植木靖男氏(株式評論家)

 全体相場は下げ圧力が強いものの、早晩風向きは変わるとみている。日経平均はここから下がっても3万円大台を浅く割り込む程度で、そこが年内の安値水準となり、言い換えれば年内最後の買い場といってよいのではないか。11月は基本的に戻り相場が想定され、ここからの押し目は買い下がって報われる公算が大きい。

 今週は中銀ウィークで日米の金融政策決定会合にマーケットの警戒心が高いが、実際は大きな波乱なく通過する可能性が高そうだ。中東情勢も先行き不透明ながら大勢トレンドを揺るがす背景とはならないだろう。仮にここから日経平均が下に振られることがあれば、そこは買い場提供場面と捉えたい。

 米国では長期金利の動向に神経質となっているが、この先10年債利回りが5%を超えてどんどん上昇していく展開は見込みにくく、既に頭打ちの状況にあるとみている。したがってNYダウやナスダック総合株価指数など主要株価の下落基調も止まりそうだ。もっとも中期的に見た米国株市場の上値余地という点ではあまり大きくない。しかし、日本株市場は、来年以降は米国株と入れ替わる形で海外資金が還流し、米株市場と連動しない形での上値追いが可能とみている。

 国内では円安と相まってインフレ経済が否が応でも意識される局面にある。しかし、日銀の金融引き締めまでには時間があり、その間はインフレ=株高局面がもたらされるとみている。年末にかけて日経平均は3万2000~3万3000円台の水準に戻すことが有力視されるが、来年以降は一段の上値が期待できそうだ。物色対象としてはバリュー株の見直しが進むだろう。海運陸運(鉄道)のほか、インフレを追い風とする小売関連株などにも注目したい。

(聞き手・中村潤一)

<プロフィール>(うえき・やすお)
慶応義塾大学経済学部卒。日興証券(現SMBC日興証券)入社。情報部を経て株式本部スポークスマン。独立後、株式評論家としてテレビ、ラジオ、週刊誌更に講演会などで活躍。的確な相場見通しと独自の銘柄観に定評がある。

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