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【市況】【村瀬智一が斬る!深層マーケット】市場の関心は本格化する企業決算に集中

RAKAN RICERCA 代表取締役 会長 村瀬智一

「市場の関心は本格化する企業決算に集中」

●米長期金利・中東情勢を睨んで方向感は定まらず

 今週の日経平均株価は、3万0500円水準まで調整した後に3万1500円に迫るリバウンドを見せたが、再び3万0500円処に押し返されるなど、不安定な値動きが続いた。週末には自律反発狙いの買いで再び3万1000円を回復してきたが、米長期金利の動向や中東情勢を巡る地政学リスクなどが警戒されて方向感は見極めづらい。

 ただし、月末月初に米連邦公開市場委員会(FOMC)と日銀の金融政策決定会合を通過することで、市場の関心は本格化する企業決算に集中することになりそうだ。

 米国では主要企業の決算が振るわず、アルファベット<GOOG>やメタプラットフォームズ<META>の失望売りがハイテク株全般に波及する流れとなった。ただし、大型テック株の決算を概ね通過したこともあり、今後は国内企業の決算を手掛かりに日替わり的な個別物色になりやすい。

 また、低迷が続く中小型株であるが、11月6日に東証マザーズ指数の名称が東証グロース市場250指数に変更される。連続性は保たれるとはいえ構成銘柄が時価総額上位250社に絞られるため、時価総額の小さい銘柄への資金流入が一段と限られる一方で、時価総額上位の銘柄を見直す動きがみられてきそうである。

●活躍が期待される「注目5銘柄」

◆ビジョナル <4194> [東証G]
即戦力人材に特化した会員制転職サイト「ビズリーチ」を提供。累計導入企業数は2万6000社を超える。23年7月期の連結営業利益は前の期比59.7%増の132億円で着地。24年7月期の営業利益は前期比21.0%増の160億円と4期連続で過去最高を更新する見通し。同社は10月26日付で、東証プライム市場への市場区分変更申請を行った。株価は昨年12月高値の1万1390円をピークに調整を続け、本年7月以降は概ね6500円~8000円処のボトム圏で推移している。プライム移行に伴うパッシブ型ファンドの資金流入への思惑からリバウンド狙いに向かわせよう。

◆ジーエヌアイグループ <2160> [東証G]
中国を拠点に、新薬探索・臨床開発から製造・販売まで一貫で事業展開する創薬会社。23年12月期第2四半期累計(1-6月)の連結営業利益は前年同期比5.5倍の54億7600万円だった。通期営業利益は前期比4.4倍の59億9100万円を見込む。なお、26日には子会社が中国で実施している「F351(一般名ヒドロニドン)」のB型肝炎に起因する肝線維症に対する第3相臨床試験に関して、目標登録数248名の被験者登録を完了したと公表した。当初の想定を2カ月以上前倒しで達成している。株価は8月30日に付けた年初来高値2408円をピークに調整を続けているが、75日移動平均線が支持線として機能しており、リバウンド狙いのスタンスで注目したい。

◆KOKUSAI ELECTRIC <6525> [東証P]
半導体製造装置大手。10月25日に東証プライム市場に上場した。旧日立国際電気の成膜プロセスソリューション事業を前身としており、米投資ファンドのKKRの傘下にある。不安定な相場環境であったが、半導体価格は遠からず持ち直すとの期待を背景に公開価格(1840円)を上回る初値(2116円)形成となった。会社側では大株主の半導体製造装置大手の米アプライド・マテリアルズ<AMAT>に関して半導体成膜装置を中心に協業を模索している。また、半導体市況については、顧客の在庫が減り始めているのは事実として底は打った、との見解を示している。連日の上昇による反動安は警戒されるが、押し目狙いのスタンスで臨みたい。

◆ABEJA <5574> [東証G]
AIプラットフォーム「ABEJA Platform」を基盤として、フロー型の「トランスフォーメーション領域」とストック型「オペレーション領域」で事業を展開。23年8月期の営業損益(非連結)は4億0200万円の黒字(前の期は1億6300万円の赤字)に浮上。続く24年8月期の営業利益は前期比11.9%増の4億5000万円を計画している。株価は6月22日に付けた上場来高値1万0300円をピークに調整し、足もとでは5000円を挟んで4200円~6000円のレンジで推移している。ボトム圏からのリバウンド狙いでの投資スタンスを想定する。

◆スマレジ <4431> [東証G]
クラウド型POSシステム「スマレジ」を中心に、店舗向けソリューションを展開する。24年4月期第1四半期(5-7月)の営業利益(非連結)は前年同期比2.2倍の4億1000万円で着地。通期予想(9億1400万円)に対する進捗率は44.9%に達した。当第1四半期の各月における有料プラン店舗の増加数が500店舗を上回り、「スマレジ」登録店舗数が堅調に増加したほか、POSシステム以外の自社製品のクロスセル施策も奏功した。株価は上向きで推移する52週移動平均線を支持線としたリバウンドにより上昇トレンドに乗る。足もとではより短期の13週線を支持線として3月に付けた年初来高値3280円にトライする構えをみせている。

(2023年10月27日 記)

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