2016年を迎えた東京市場では、中国株安・元安、中東・北朝鮮を巡る地政学的リスクの高まりなど悪条件が重なる中、
日経平均株価が大発会から初の5日続落を記録し、5日間の下げ幅は1335円に達した。直近の高値2万0012円を付けた昨年12月1日からの下落率は11%を超え、9月29日の安値1万6901円も視野に入ってきた。リスク回避による失速状況に喘ぐ株式市場だが、その中でも逆風を突いて舞い上がろうとする逆行高銘柄は少なくない。
本稿では東証1部上場銘柄を対象に、全般市場が崩落した2015年12月1日-2016年1月8日の期間内の株価騰落率を計算し、この期間内に株価が上昇した逆行高銘柄をランキングし、上位30銘柄を抽出した。
個々の銘柄をみると、新興市場・東証2部の逆行高銘柄が主に
『フィンテック』『ドローン』『民泊』『自動運転』、この4つのテーマを中心に物色されたのに比べ、東証1部ではテーマそのものよりもより個々の材料を手掛かりに買われた傾向が強いことがわかる(参照:
「嵐の中を舞い上がる!【逆行高銘柄】 (新興&東証2部編)<特集>」)。
そのなか、
『フィンテック』関連として買われたのが、上昇率1位のさくらネット <
3778> と5位のブレインP <
3655> 。さくらネットは1月7日に、インフォテリ <
3853> [東証M]およびテックビューロと協業し、プライベート・ブロックチェーン実証実験プラットフォームを無償提供すると発表し、8日にはストップ高を演じている。また、ブレインPもフィンテックのみならず自動運転でも中核を担う人工知能分野の研究で先駆していることが評価された。
『自動運転』関連では、コア <
2359> が上昇率2位、HUG <
3676> が上昇率19位につけた。コアが手掛ける、準天頂衛星「みちびき」初号機の補強信号に対応した受信機は、高精度補正情報の取得が可能で、自動運転車関連でも需要を取り込む可能性が指摘されている。3次元デジタルマップを手掛け、株価を大化けさせたアイサンテクとも商取引があることも思惑を誘った。HUGは自動運転車の不具合検出では今年のIPOの目玉とみられるZMPと協業体制をみせている。
また、
『ドローン』関連としてパスコ <
9232> 、モバクリ <
3669> が30位圏内にランクしている
ただ、このほかは業績(ケンコーマヨ <
2915> 、クミアイ化 <
4996> 、くら <
2695> 、ダイセキS <
1712> 、福井コン <
9790> )、レーティング(日水 <
1332> 、ライドオンE <
6082> 、ダイヘン <
6622> 、沢井製薬 <
4555> )、市場1部に指定替え・変更(ピエトロ <
2818> 、タカキタ <
6325> 、WSCOPE <
6619> 、第一興商 <
7458> 、綿半HD <
3199> )をはじめ、先に述べたように個別の材料色が強まる。
テーマによる絞り込みには新興・東証2部に比べてやや難があり、足元、調整している銘柄もあるものの、指数をアウトパフォームしているこれら銘柄を、順張り・押し目買い候補として精査してみてはいかがだろうか。
◆「逆行高銘柄」上位30銘柄(東証1部)
銘柄 上昇率 上昇の背景 予PER 増益率
さくらネット <
3778>
405.19 フィンテック 85.8 2.7
コア <
2359>
69.97 自動運転 34.9 34.9
ピエトロ <
2818>
61.45 1部指定替え 44.4 -15.7
日水 <
1332>
50.35 「強気」格上げ 16.8 -13.5
ブレインP <
3655>
47.67 フィンテック 1071.6 -59.6
ライドオンE <
6082>
46.49 妥当株価増額 28.4 11.9
タカキタ <
6325>
32.59 1部に指定替え 20.5 7.9
ステラケミ <
4109>
31.57 リチウム電池 27.0 -33.0
アイスタイル <
3660>
30.48 コスメサイト 67.4 75.9
ペプドリ <
4587>
29.74 米社と開発契約 255.7 -15.3
ケンコーマヨ <
2915>
27.85 上期経常41%増益 17.6 8.1
テクマト <
3762>
24.21 情報システム 17.4 14.8
イーレックス <
9517>
23.39 電力自由化 26.5 24.1
パスコ <
9232>
22.29 ドローン 16.7 37.0
システナ <
2317>
20.80 マイナンバー 18.7 14.1
クミアイ化 <
4996>
20.77 今期営業21%増益 19.5 -13.2
星光PMC <
4963>
20.31 CNF(※) 45.8 145.7
メニコン <
7780>
19.50 新規「強気」 35.7 12.5
HUG <
3676>
19.20 自動運転 22.9 51.7
ヒトコム <
3654>
18.08 高ROE 17.4 8.7
WSCOPE <
6619>
18.08 1部に市場変更 35.9 173.4
くら <
2695>
16.59 今期3期連続最高益 23.3 1.4
ダイヘン <
6622>
16.18 目標株価増額 11.6 5.7
ダイセキS <
1712>
16.13 今期上振れ観測 14.1 88.2
第一興商 <
7458>
15.95 1部に市場変更 20.3 6.7
沢井製薬 <
4555>
15.44 外国証2段階格上げ 19.3 5.2
福井コン <
9790>
15.40 上期上振れ着地 21.0 0.8
デジアーツ <
2326>
15.35 サイバー対策 56.4 10.2
モバクリ <
3669>
14.92 ドローン 24.3 -38.8
綿半HD <
3199>
14.40 1部に指定替え 11.6 34.9
※騰落率は1月8日終値÷12月1日終値。予想PERは1月8日現在。増益率は今期経常増益率(予想)。騰落率、増益率の単位は%、予想PERは倍。星光PMCの「CNF」はセルロースナノファイバー。ヤフーがTOBを実施する一休 <
2450> は対象から除外。
株探ニュース