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6430 ダイコク電機

東証P
3,505円
前日比
-5
-0.14%
PTS
-円
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
6.3 1.28 3.42 2.28
時価総額 518億円
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決算発表予定日

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ダイコク電 Research Memo(4):厳しい環境が続くも、主力製品の伸びやMGサービスの回復、収益体質改善が寄与


■決算動向

1. 2022年3月期決算の概要
ダイコク電機<6430>の2022年3月期決算の業績は、売上高が前期比4.5%増の24,390百万円、営業利益が同96.2%増の1,191百万円、経常利益が同38.6%増の1,367百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同100.6%増の1,228百万円と増収及び大幅な増益を実現した。期初予想に対しても、売上高はやや下振れたものの、利益面では大きく上振れる着地となった。

パチンコホールにおける設備投資は、新店や大規模改装工事を控える厳しい状況が続いたものの、パチンコ「新規則」機の好調な稼動とともに、「情報システム事業」の主力製品であるAIホールコンピュータ「Χ(カイ)」をはじめ、CRユニット「VEGASIA」、情報公開端末「REVOLA」「BiGMO PREMIUM」の販売が前期を上回ったことや、サービス売上の着実な伸びが増収に寄与した。ただ、第3四半期以降は半導体不足に伴う販売計画の調整を余儀なくされ、売上高は期初予想に届かなかった。

一方、「制御システム事業」についても、パチンコ機向けの販売が好調に推移したことに加え、パチスロ機の受託製造を開始したことにより、主力の「表示・制御ユニット」は好調に推移した。一方、「部品・その他」が伸び悩んだ。

利益面では、増収による収益の押し上げや収益体質の改善により大幅な営業増益を実現し、営業利益率も4.9%(前期は2.6%)に上昇した。特に、利益面で期初予想を大きく上回ったのは、利益率の高い主力製品の伸びに加え、ストック型ビジネスであるMGサービスの回復や全社的なコスト削減への取り組み(働き方の見直しを含めた業務改善や効率化、内製化の推進等)が奏功したためである。

財政状態については、遊休資産の減損などにより固定資産が減少した一方、「現金及び預金」や売上債権が増えたことから、総資産は前期末比1.0%増の41,489百万円に増加した。また、自己資本は内部留保の積み増しにより同1.5%増の31,141百万円に増加したことから、自己資本比率は75.1%(前期末は74.6%)に改善している。

事業別の業績は以下のとおりである。

(1) 情報システム事業
売上高は前期比6.8%増の18,647百万円、セグメント利益は同11.9%増の2,171百万円と増収増益となった。期初予想に対しては、売上高が下振れた一方、利益面では上振れて着地した。パチンコホール企業経営における設備投資は、2022年1月末を設置期限とする「旧規則」機から「新規則」機への入れ替えが優先されたことに加え、今後市場投入が予定されている「スマート遊技機」の動向を探る動きもあり、新店や大規模改装工事を控える厳しい状況が続いている。そのような環境の下でも増収を確保できたのは、パチンコホールの一部をパチスロ機から稼動が堅調なパチンコ機へ変更する小規模工事の増加※に伴い、AIホールコンピュータ「Χ(カイ)」の導入(システムアップ)とともに、CRユニット「VEGASIA」、情報公開端末「REVOVA」「BiGMO PREMIUM」の販売が前期を上回ったことが主因である。また、サービス売上についても、クラウドチェーン店管理システム「ClarisLink」をリリースし、他の主要サービスも堅調に推移していることから、営業店舗数が減少しているなかでも順調に伸ばすことができた。一方、売上高が期初予想を下回ったのは、第3四半期以降における半導体不足の影響を受け、引き合いが多い一部製品の供給が追い付かなかったことで、販売台数の調整をせざるを得ない状況となったことが理由である。

※2022年1月~3月における全機種の稼動状況は前年同期比102.0%と回復傾向にあるが、そのうちパチンコ機については、ファンから高い支持を得るヒット機種が市場投入され、同106.5%と堅調に推移している。一方、パチスロ機については、新たなゲーム性を搭載した6.2号機の納入は増えたものの、同95.1%と厳しい状況が続いている。


利益面では、利益率の高い主力製品の伸びやサービス売上の底上げ加え、ストック型ビジネスであるMGサービスの回復、コスト削減等により大幅な増益を実現し、セグメント利益率も11.6%と高い水準を確保することができた。

(2) 制御システム事業
売上高は前期比2.2%減の5,759百万円、セグメント利益は同433.0%増の537百万円と減収ながら大幅な増益となった。期初予想に対しては、「情報システム事業」と同様、売上高が下振れた一方、利益面では上振れて着地した。2022年1月末を設置期限とする「旧規則」機の入れ替えが段階的に実施され、各遊技機メーカーから多くの「新規則」機がリリースされたこともあり、市場全体の遊技機販売台数が増加してきた。そのような環境の下、主力の「表示・制御ユニット」の売上高は、パチンコ機向けの販売が好調に推移したことに加え、事業領域の拡大を目的に新たにパチスロ機の受託製造を開始したことにより前期を上回った。一方で「部品・その他」は伸び悩んだ。利益面でも、期初に実施した組織再編を通じて、開発管理の強化と業務効率向上によるコスト低減に取り組んだことに加え、利益率の高い主力製品が伸びたことや版権の受取配当金の増加により大幅な増益となり、セグメント利益率も9.3%とコロナ禍前(2019年3月期は7.2%)を超える水準を確保することができた。

2. 2022年3月期の総括
以上から、2022年3月期を総括すると、第3四半期以降に半導体不足の影響を受けたものの、計画を上回る大幅な増益を実現したところは高く評価できる。特に、パチンコホールの設備投資意欲が依然低調に推移するなかでも、抜本的な収益体質の改善を進めながら、徐々に顕在化してきた新たな需要をしっかりと取り込み、収益の底上げにつなげたところは、今後予想される市場活性化に備える意味でもプラスの材料と言えよう。活動面でも、クラウドを活用した新サービスやパチスロ受託開発の開始など、2023年3月期からスタートする新中期経営計画の達成に向けて、足場を固めることができた。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)

《YM》

 提供:フィスコ

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