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6030 アドベンチャー

東証G
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時価総額 248億円
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決算発表予定日

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アドベンチャー Research Memo(7):2017年6月期は大幅な取扱高の拡大により増収増益を実現


■アドベンチャー<6030>の決算動向

1. 2017年6月期決算の概要
2017年6月期の業績は、営業収益が前期比96.3%増の5,269百万円、営業利益が同44.5%増の414百万円、経常利益が同48.2%増の409百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同65.6%増の242百万円と2度の上方修正を伴いながら大幅な増収及び増益を実現した。

積極的な広告費の投入による認知度拡大を始め、スマートフォンアプリのダウンロード数拡大や多言語展開(32言語化対応)、グローバルメタサーチ※1への多言語掲載(英語、中国語)、他社との提携による販路拡大など、様々な取り組みによる複合的な効果により、申込数及び取扱高がそれぞれ大きく拡大した。なお、申込数は1,465件(前期比128.9%増)、取扱高(キャンセル後)は37,683百万円(同113.1%増)とリピート客※2を積み上げながら大きく伸びている。特筆すべきポイントは、1)外国人の利用(国内線、国際線ともに)が増えていること、2)国内線の比率が依然高いものの、国際線の伸びが大きいこと、3)海外発海外の利用も増えていることなどが挙げられる。したがって、国内でのシェア拡大はもちろん、海外への広告効果や多言語化によりアジアを軸とした「グローバルOTA」としての認知が広がりつつあると言える。また、2016年5月から開始したスマートフォンアプリのダウンロード数は396万DL(2017年6月30日時点)に到達。意欲的な目標(500万DL)に対しては未達となったものの、順調に伸びていると評価して良いだろう。一方、「skyticket」内で展開している航空券以外(旅行保険やホテル、レンタカー予約等)の売上高(手数料収入)についても、まだ小規模ながら順調に伸びているようだ(特に、前期より開始したレンタカー予約が好調)。また、マッサージ・リラクゼーションサロン、歯医者などの予約サイト「スグヤク リラク」も小規模ながら着実に伸びているようだ。

※1世界最大級の旅行検索サイト(ホテルや航空券などのネット予約サービスを横断的に検索し、価格などを比較できるサイト)のことである。同社は、「skyscanner(スカイスキャナー)」や「kayak(カヤック)」、「Google flights(グーグルフライト)」、「tripadvisor(トリップアドバイザー)」などへ情報掲載しており、重要な集客チャネルとなっている。
※2直近1ヶ月間のリピート率では国内線60%超、国際線50%超となっているようだ(2017年6月末現在)。


利益面では、成長加速に向けた広告宣伝費やシステム投資などの先行費用が増加したが、増収により吸収することで増益を確保した。ただ、広告宣伝費は前期比104.5%増の3,601百万円と大きく拡大し、それに伴って営業利益率は7.9%(前期は10.7%)に低下している。同社は、取扱高の拡大(国内シェア拡大や海外展開)を最優先すべきフェーズにあると判断しており、積極的な広告投資は、今後の規模拡大に向けて、戦略に沿ったものと捉えるべきだろう。

財政状態については、自己資本が内部留保の積み増しにより前期末比32.1%増の1,543百万円に増加した一方、総資産も「売掛金」や「ソフトウェア」(仮勘定を含む)、「敷金及び保証金」などの増加により同44.0%増の3,685百万円に拡大したことから、自己資本比率は41.9%(前期末は45.7%)に低下した。ただ、「売掛金」の増加は一時的な要因であり、実態として財政状態に大きな変化はない。「ソフトウェア」は「skyticket」のリニューアル、「敷金及び保証金」は航空会社への保証金やオフィス移転に関連したものである。

2.活動実績
(1) 海外展開への布石
重要な集客チャネルであるグローバルメタサーチとの提携については、「skyscanner」や「kayak」等に加えて、新たに「tripadvisor」との提携を開始するとともに、各社サイト(日本の国内線及び日本発海外)への英語、中国語での多言語掲載にも取り組んだ(韓国語も準備中)。今後も提携メタサーチや言語数を増やしていく方針である。また、スマートフォンアプリの多言語化(32言語対応)も実施し、それらの結果、外国人(98ヶ国以上)のよる取扱高の拡大につながった。また、オーストラリアのLCCであるJetstar Airwaysとの情報連携※を開始したことも業績に大きく貢献したようだ。他の海外LCCとの情報連携を進めていく方針である。

※航空券予約システムと国内航空券におけるAPI連携を開始し、オンタイムでの航空券料金や空席状況確認が可能となり、予約の完全自動化が実現した。


(2) スマートフォンアプリへの集中投資
2016年5月より開始したスマートフォンアプリのダウンロード数は、前述したとおり、意欲的な計画(500万DL)に対しては未達となったものの396万DLに到達し、一定の成果を残したと言える。ただ、国内アプリのCPI※が高騰していることから、収益的にはまだ投資の段階にあるようだ。今後は、CPIの低い東南アジアを中心に、南米、アフリカにも展開(広告費の投入など)していく予定である。

※Cost Per Install(コスト・パー・インストール)の略。インストール1件当たりのコスト(主に広告費)のこと。


(3) 認知度拡大に向けた取り組み
20代女性に人気の高いタレントを起用するとともに、動画広告をYouTube、Facebook、Instagramを中心に配信し、若年層やF1層を中心に認知度の拡大を図った。

(4) クロスセルの推進
利用者の利便性や収益性の向上を目的として、クロスセルの推進にも取り組んでいる。特に、2016年7月から開始した国内レンタカー予約が順調に伸びた。また、海外Wi-Fiレンタルや歯医者予約※も開始している。

※歯医者予約サイトは子会社スグヤクが展開。


(5) その他
その他にも「i.JTB」との情報連携((株)JTBグループの取り扱う国内宿泊施設など)や(株)ローソントラベルとの提携(旅行商品の仕入れ)、ベネフィット・ワン<2412>との提携(会員向けサービス)など他社との提携により、商品ラインナップの拡充や販路拡大、会員向けサービスの充実などに取り組んだ。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)

《NB》

 提供:フィスコ

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