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4956 コニシ

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コニシ Research Memo(3):2022年3月期は主力の「ボンド」「化成品」における需要が回復し、増収寄与


■業績動向

1. 2022年3月期の業績概要
(1) 損益状況
コニシ<4956>の2022年3月期の業績は、売上高113,671百万円(前期比5.5%増)、営業利益7,298百万円(同3.1%増)、経常利益7,822百万円(同5.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益5,135百万円(同4.1%増)となった。

売上高は、主力の「ボンド」「化成品」は主要市場での需要が回復し、増収となった。「工事事業」は前期の大型案件の反動で減収となった。セグメント利益については、「ボンド」は増収ながら原材料価格の高騰で減益となった。「化成品」は増収に伴い増益となり、「工事事業」は減収ながら高採算工事が完工したことで増益となった。この結果、通期での売上高と営業利益は過去最高となった。設備投資額は2,112百万円、減価償却費は2,266百万円であった。

営業利益の増減要因を見ると、プラス要因としては売上増加による利益増が1,460百万円(ボンド1,535百万円増、化成品372百万円増、工事事業399百万円減)、利益率改善による利益の増加669百万円(化成品68百万円、工事事業601百万円)、販売価格の増加による利益増(主にボンド)が289百万円等となった。マイナス要因としては原材料価格の増加1,433百万円(ボンド)、工場経費の増加509百万円(主にボンド、子会社サンライズの償却増など)、販管費の増加260百万円などがあり、結果として営業利益は前期比216百万円増となった。

(2) 財務状況
2022年3月期末の財務状況は、流動資産は前期末比で6,276百万円増加し82,266百万円となった。業績の拡大に伴う現金及び預金の増加2,293百万円、受取手形及び売掛金(電子記録債権含む)の増加2,664百万円、たな卸資産の増加1,297百万円が主な要因となった。固定資産は前期末比で929百万円増の36,882百万円となった。その要因は減価償却による有形固定資産の減少194百万円、のれんの償却による無形固定資産の減少180百万円、投資その他の資産の減少554百万円で、その結果、資産合計は119,148百万円(前期末比5,347百万円増)となった。

負債合計は46,251百万円(同1,236百万円増)となった。支払手形及び売掛金の増加2,509百万円、1年内返済予定の長期借入金を含む短期借入金の増加21百万円、長期借入金の減少184百万円、退職給付に係る負債の減少223百万円等があった。純資産合計については、親会社株主に帰属する当期純利益の計上等による利益剰余金の増加3,567百万円、その他有価証券評価差額金の減少260百万円などにより、72,897百万円(同4,112百万円増)となった。

(3) キャッシュ・フローの状況
2022年3月期の営業活動によるキャッシュ・フローは6,198百万円の収入となった。主な収入は税金等調整前当期純利益の計上7,980百万円、減価償却費2,266百万円、仕入債務の増加2,385百万円である。主な支出は、売上債権の増加2,242百万円、たな卸資産の増加1,224百万円によるものとなった。投資活動によるキャッシュ・フローは2,674百万円の支出となった。主に有形固定資産の取得による支出2,882百万円による。財務活動によるキャッシュ・フローは1,823百万円の支出となった。主な支出は借入金の減少(返済)210百万円、配当金の支払い1,564百万円による。

以上から2022年3月期の現金及び現金同等物は1,792百万円増加し、期末残高は25,514百万円となった。


「ボンド」は原材料費の上昇で減益ながら、「化成品」「工事」は増益
2. 2022年3月期のセグメント別状況
(1) ボンド
セグメント売上高は63,613百万円(前期比9.1%増)、営業利益は4,606百万円(同5.0%減)となった。売上高は、主要な市場での需要が回復し、順調に推移したが、原材料価格の高騰の影響を受けてセグメント利益は減益となった。各サブセグメントの状況は以下のようであった。

a) 一般家庭用:売上高6,102百万円(同3.3%減)
2021年3月期は新型コロナウイルス感染症の拡大(以下、コロナ禍)による巣ごもり需要で100円均一ショップやホームセンター向けが好調となったが、当期はその反動で減収となった。

b) 住宅関連用:売上高19,803百万円(同7.3%増)
コロナ禍からの回復により、内装工事用や内装建材用が好調に推移した。

c) 産業資材用:売上高7,464百万円(同10.8%増)
産業資材用で取り扱う主な製品は、紙管・製袋用途向け水性エマルジョン形接着剤、パネル用途向けウレタン系接着剤、自動車関連産業向け接着剤離型剤、産業用ホットメルト系接着剤となった。紙関連用(水性形接着剤)が増加したことに加え、従来から拡販に注力してきた自動車・電子部品用の弾性接着剤も堅調に増加し、通年では2ケタの増収となった。

d) テープ:売上高3,285百万円(同9.2%増)
従来は産業用に含まれていたが、順調に売上高が増加したことから2019年3月期より新たにサブセグメントとして切り出された。当期は、主な向け先である住宅関連用が着工数の回復により増加した。

e) 建設用:売上高12,033百万円(同9.8%増)
当期から、それまでの「工事事業(旧 土木建設事業)」から「ボンド」に組み替えられた。補修材や建築用シーリング材の需要が回復し増収となった。

f) 土木用:売上高2,389百万円(同1.9%増)
建設用と同様に、当期からそれまでの「工事事業(旧 土木建設事業)」から「ボンド」に組み替えられた。コロナ禍でも同製品の需要は落ちなかったが、引き続き需要は堅調に推移して増収を確保した。特に耐震補強用などが好調であった。

g) サンライズ(連結子会社):売上高8,829百万円(同11.9%増)
コロナ禍からの反動もあり住宅用シーリング材が回復した。また栃木工場で親会社である同社向けの製造も始まった。

h) ウォールボンド工業(連結子会社):売上高2,695百万円(同8.2%増)
主要製品は壁紙用接着剤であることから、100%が住宅関連である。住宅向け需要が回復したことに加え、新製品の売上増もあり堅調に推移した。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)

《EY》

 提供:フィスコ

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