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【特集】燃え上がる「レアメタル関連株」、日米連携でネクストステージへ <株探トップ特集>

レアメタルに注目が集まっている。西側諸国VS東側諸国の構図が鮮明となるなか、東京市場でも関連銘柄への投資資金流入が加速しそうだ。

―ロシアのウクライナ侵攻受け、中国依存型サプライチェーンの構造見直しに着手―

 ロシアが北方領土4島周辺での日本漁船の安全操業協定停止を発表。北朝鮮の挑発的軍事行動も過激化するなど、日本の対外的な環境は深刻さを増している。そのなか、重要鉱物である「レアメタル」が今注目されている。レアメタルを巡る政治的問題は日本だけに限らず、世界的な問題へとその性質を変容させている。

●G7で掲げられた「ベルリン・ロードマップ」

 今月中旬、カナダのトロントで開催された鉱物資源に関する閣僚級会合に鈴木貴子外務副大臣が出席し、「鉱物安全保障パートナーシップ(MSP)」立ち上げへの支持を表明した。MSPは、日米など10ヵ国以上が参加すると伝わるレアアースなど重要鉱物の安定的な供給に向けた新たな国際的枠組みだ。ロシアと同じく東側諸国で存在感を強めている中国だが、ロシアのウクライナ侵攻を受けて、中国に調達を依存しているサプライチェーンの構造を見直す必要性が高いとの認識が強まっている。

 実際、こうした大きな枠組みの構築に向けた動きの他にも先進7ヵ国(G7)は気候・エネルギー・環境相会合で、レアメタルなど重要鉱物の確保に向け、効率的な資源利用を進めることで一致。廃家電のリサイクル推進やリサイクルしやすい製品づくりを企業に促すことを盛り込んだ3ヵ年の工程表「ベルリン・ロードマップ」を採択している。別角度からも重要資源の供給安定化の道筋をつけようと躍起になっていることは明白である。

 当然、日本国内でも、環境省が廃家電などのリサイクル を強化する方針が伝えられている。国内の回収量増加を図るとともに海外(主に東南アジア)からも輸入してリサイクル処理する計画で、令和12年度の処理量を現行から倍増させることを目指す方向にある。

●西側VS東側の色彩強まるレアメタル争奪戦

 もともと株式市場では、レアメタルという分野は、政治的な思惑から「日米VS中国」の色彩が強く意識されていた。しかし、今回のロシアのウクライナ侵攻を受けて、この問題は「西側諸国VS東側諸国」の構図へと意味合いが変化している。そうしたこともあり、レアメタルの生産で存在感の大きい中露からの依存度低減が、米国や日本、欧州など西側諸国の経済安定度合いを高めるうえで必要とされ、危機感を持って対策に取り組んでいるのである。

 更に皮肉なことに、この問題の深刻さに拍車をかけているのがコロナ禍からの経済活動の正常化で、例えば、レアメタルの一角であるチタン (スポンジチタン)は、多岐にわたる製品に利用されているが、特に航空機向けで需要が回復傾向にある。一方、当然ながらエネルギーコストの上昇や海運市況の影響も加わる。

 チタンだけではなく、例えばニッケルなども、電気自動車(EV)リチウムイオン電池(LIB)などに不可欠な鉱物だ。レアメタルは、さまざまな業界・製品に組み込まれている重要鉱物というだけあって、供給が滞れば、多くの企業の経営戦略にも大きな狂いが生じる恐れがある。

 そこで今回は、今や世界中の関心が集まっているレアメタル関連の銘柄にスポットライトを当てた。既に大きく株価の変動を見せている銘柄もあるが、問題の大きさと根深さを踏まえれば、依然としてマーケットの関心は高い。世界情勢の先行きの見通しが立たないなかで、引き続き物色対象として注目したい。

●レアメタル関連で要注目となる銘柄群

◇大阪チタニウムテクノロジーズ <5726> [東証P]~チタン製錬メーカーであり、国内最大のスポンジチタン生産能力を有する。半導体用ポリシリコンや高純度チタン、液晶用ターゲット材料など高機能材料も手掛ける。ロシアと米国企業との取引停止で、チタンの代替需要の恩恵への思惑や販売価格引き上げへの思惑から株高期待は大きい。

◇東邦チタニウム <5727> [東証P]~チタン製錬メーカー。ポリプロピレン製造用の触媒、積層セラミックコンデンサー向けのニッケル粉といった電子部品材料の製造も手掛けている。航空機向け需要は引き続き回復基調なほか、ロシア製展伸材の代替可能性の影響も加わり、スポンジチタンの引き合いは旺盛。国内生産で不足する販売量はサウジ工場の増産でカバーする計画。

◇UACJ <5741> [東証P]~アルミニウム圧延メーカー。アルミニウム圧延品の生産能力は年間100万トンを超え、国内最大手。新型「ランドクルーザー」にアルミ板材が採用されているが、品質を維持しながら繰り返し再生するクローズドループ・リサイクルを適用している。また、昨年8月にはレアメタルの一種であるスカンジウム(Sc)合金について豪サンライズ社と共同研究契約を締結している。

◇フルヤ金属 <7826> [東証S]~加工・回収が困難なイリジウム・ルテニウムなど希少性の高いレアメタルに特化した工業用貴金属加工メーカー。オリジナルの回収技術を確立し高品位素材から低品位素材まで、効率的な回収と純度の高い精製を可能としている。足もとでは薄膜部門のHD向けルテニウムターゲットの受注が堅調なほか、サーマル部門では半導体製造装置向けの温度センサー、ケミカル部門においては精製・回収や化学プラント向け触媒などが好調。

◇新日本電工 <5563> [東証P]~レアメタルの一種である高品質のマンガン系合金鉄を手掛ける。また、機能材料では、水素吸蔵合金、リチウムイオン電池正極材料、マンガン系無機化学品などの高機能と高品位を併せ持つ製品を提供する。世界的な需給の引き締まりにより、高炭素フェロマンガンの製品市況は、現状の高いレベルで推移することが見込まれるとして、5月半ばには22年12月期の利益予想を上方修正した。

◇アサヒホールディングス <5857> [東証P]~貴金属含有スクラップを回収し、リサイクルを行う。金・銀・プラチナなどの貴金属やレアメタルのリサイクルとともに、廃棄物の無害化などの環境問題にも取り組んでいる。22年3月期における貴金属リサイクル事業は貴金属価格の上昇を追い風に、前の期比で増収増益だった。

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