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【市況】【杉村富生の短期相場観測】 ─QT、利上げに翻弄される株式市場!

経済評論家 杉村富生

「QT、利上げに翻弄される株式市場!」

●商いの薄いところに投機筋が介入

 冴えない相場展開となっている。テクニカル的には下値に届いていると思う。しかし、買い上がる力が乏しい。当面、下値模索の動きだろう。なにしろ、手掛かり材料に欠ける。“期待の星”だったANYCOLOR <5032> [東証G]は失速気味だ。これは人気離散に拍車をかける。

 もちろん、逆行高の銘柄はある。だが、主軸株がさえない。特に、年初以来の相場を引っ張ってきた三菱重工業 <7011> [東証P]、日本製鉄 <5401> [東証P]などが値を消している。恐らく、内外の機関投資家の売りだろう。

 彼らはFRB(米連邦準備制度理事会)の急激な金融引き締めに脅え、身構えている。リスクオフの姿勢が鮮明だ。市場参加者が少ない(薄商い)ところを狙って、投機筋が売り攻勢をかけている。機関投資家はリスクパリティと称するヘッジをかけざるを得ない。基本はリスク資産の圧縮と先物でのつなぎ売りである。

 この結果、インデックスは下がると一般安となる。反面、上昇に転じると、ヘッジが次々に解消され、一段高となる。“空中戦”とは個人投資家にとって、不毛の闘いである。株価は機械的に、上下動を繰り返すことになる。上がれば良い。しかし、ここ数カ月は大名行列のように、「下にィ~下にィ~」の状況ではないか。

●好業績、割安のグローバルキッズCOMPANY!

 ただ、外部環境はSOX(半導体株)指数、長期金利(米10年物国債利回り)は落ち着いている。VIX(恐怖)指数は低下気味だ。原油(WTI)は1バレル=100ドル台にある。特段、パニックに陥るような状況にない。しかし、マーケットが危惧しているのはオーバーキル(金融引き締めが効きすぎて景気が失速すること)のリスクにあろう。

 FRBは3月に0.25%、5月に0.5%、6月に0.75%の利上げを行ったが、7月は0.5~0.75%、9月は0.5%程度の利上げを計画している。CPI(消費者物価指数)上昇率(3月が8.5%、4月が8.3%、5月が8.6%)に対応したものだが、FRBの物価目標(2%)を考えると、とうてい容認できる水準ではないだろう。

 ウォーラーFRB理事は「インフレ率が2%に近づくまで利上げの手を緩めない」と語っている。恐ろしい話である。いや、もっと怖いのはQT(量的金融引き締め)だろう。今回のQTは6~8月が月間475億ドル、9月以降が同950億ドルだ。1年間に約1.1兆ドル、3年間では2.5兆~3兆ドルのFRBの総資産が圧縮される。

 2017~19年のQTでは月間100億ドルでスタート、1年後に500億ドルとした。総資産の圧縮は4.5兆ドル→3.8兆ドルと、0.7兆ドルにすぎなかった。今回は規模もスピードも格段に大きい。マーケットが動揺するのは当然だろう。すでに、「バブルのアダ花」と称されたミーム株、仮想通貨は急落、SPAC市場は壊滅状態にある。

 金詰まり下では弱いセクターが直撃される。なにしろ、過剰流動性の消滅である。FRBの総資産は9兆ドルが5.9兆ドル前後に減少する見通しだ。もちろん、これでも多い。通常、理想的な水準はGDPの20%(4.6兆ドル)程度といわれている。いずれにせよ、利上げの先行き、QTの動向はひとえにインフレ次第である。

 さて、ここでの投資戦術は? 「嵐のときは動くな」が基本だが、好業績、割安のグローバルキッズCOMPANY <6189> [東証P]は狙える。株価は昨年4月5日の高値1285円から下がりっぱなしだ。しかし、2022年9月期は5.8%増収、66.3%最終増益を見込み、1株利益は85.2円となる。配当は25円を実施する。

2022年6月20日 記

株探ニュース


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