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4589アキュセラ・インク

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アキュセラ Research Memo(6):エミクススタトの臨床試験の終了に伴い、大塚製薬から得られる収益が減少


■業績動向

(1) 2016年12月期第2四半期累計の業績概要

アキュセラ・インク<4589>の2016年12月期第2四半期累計の業績は、提携からの収益が前年同期比53.9%減の6,630千米ドル(682百万円)となった。エミクススタトの臨床試験の終了に伴い、大塚製薬から得られる収益が減少したことが要因だ。一方、費用面では研究開発費が同15.7%増の13,321千米ドル(1,370百万円)となった。エミクススタトの費用が減少した一方で、自社研究費としてのラノステロールの契約金5,000千米ドル(514百万円)の計上が増加要因となった。

また、一般管理費は同15.8%減の14,356千米ドル(1,477百万円)となった。本社移転取引に関連する弁護士費用等で2.2百万米ドル(227百万円)の費用増加があったものの、前年同期に計上した株式報酬費用約1.2百万米ドル(124百万円)、臨時株主総会に関連した一時費用2.3百万米ドル(231百万円)、賞与及び従業員残留手当1.0百万米ドル(101百万円)、及び退職金の支払い約0.8百万米ドル(80百万円)が減少要因となった。

この結果、営業損失は21,047千ドル(2,166百万円)(前年同期は14,163千米ドル(1,457百万円)の損失)となり、四半期純損失は20,342千米ドル(2,093百万円)(同13,678千米ドル(1,408百万円)の損失)とやや損失額が拡大する格好となった。

(2) 2016年12月期の業績見通し

2016年12月期の業績は、提携からの収益が前期比65.5%減の8,300千米ドル(854百万円)、営業損失が38,300千米ドル(3,941百万円)、当期純損失が36,900千米ドル(3,797百万円)と期初計画から修正した。提携からの収益は、大塚製薬との契約終了に伴い、これまで計上してきたエミクススタトの臨床試験にかかる払い戻しが見込めなくなったことが減収要因となる。また、営業損失は契約終了に伴う費用の見直しを行うなど研究開発費以外の経費削減を進めるものの、自社研究開発費の増加により損失額は期初計画から若干拡大する見通しだ。一方、当期純損失に関して金融収益が当初計画よりも上回ることにより、期初計画から若干縮小することが見込まれる。

また、2017年以降の見通しとしては大塚製薬との契約終了に伴って提携からの収益が見込めなくなることから、短期的な収益は大幅に減少することが予想される。一方で、研究開発費用については現在開発を進めているパイプラインにおいて臨床試験を進めていくこと、並びにインライセンス取引の実行に基づく前払金及びマイルストーン支払いにより、増加する見通しとなっている。また、販管費については本社移転に関連する一時費用がなくなることから、2017年は減少することが見込まれている。

以上から、当面は自力での研究開発が続く見通しであり、その進捗状況によっては営業損失が拡大するリスクがある。同社では開発パイプラインにおいて、POCを取得した後にライセンス活動を進めていく方針であり、早ければ糖尿病網膜症を対象としたエミクススタトで2017年内に取得できる見通しであることから、その開発動向が注目される。

(3)財務状況

同社の財務状況は、2014年2月の株式上場により調達した資金が潤沢にあり、当面の事業活動資金には十分な備蓄があると言える。2016年12月期第2四半期末の総資産は前期末比13,937千米ドル減少の162,013千米ドル(16,672百万円)となったが、主に期間損失の計上に伴う長期投資の減少によるものとなっている。それでも現預金及び短期・長期投資を合わせた手元キャッシュは154,607千米ドル(15,910百万円)となっており、今後3年程度の事業活動を継続していく資金はあると判断される。逆に言えば3年間で新たな販売パートナー契約の締結等の事業進捗がなければ、資金調達を行って開発を進めていく必要性が生じることになる。

なお、SBIホールディングス<8473>が同社の株式の37.9%を占める筆頭株主となっている。上場前よりグループ会社で同社株を保有していたが、今回の地図状萎縮を伴うドライ型加齢黄斑変性での臨床試験結果発表による株価急落局面で、出資比率を引き上げた格好となっている。中長期投資により、企業価値に資することが保有目的となっており、今後も筆頭株主として同社の事業活動をサポートしていくものと予想される。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《HN》

 提供:フィスコ

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