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証券取引所が指定する制度信用銘柄のうち、買建(信用買い)と売建(信用売り)の両方ができる銘柄
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4519 中外製薬

東証P
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21:02 04/26
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GTS Research Memo(6):加齢黄斑変性治療薬を対象としたラニビズマブBSが3つ目の上市品の視野に(1)


■ジーンテクノサイエンス<4584>の開発パイプラインの状況

1. バイオシミラー事業
バイオシミラー事業でのパイプラインの進捗としては、2019年11月に「GBS-011」(ダルベポエチンアルファBS)の販売が開始されたほか、2020年2月に「GBS-007」(ラニビズマブBS)の第3相臨床試験の最終患者の観察期間が終了し、製造販売承認申請に向けた準備が進んでいるものと見込まれる。また、新たなパイプラインとして「GBS-012」(アフリベルセプトBS)を加えている。なお、既に国内で上市しているフィルグラスチムBSについては提携先である富士製薬工業向けを中心とした原薬販売等で年間6億円強の売上実績を挙げており、薬価次第ではあるが今後も横ばい水準で推移する見通しとなっている。

(1) GBS-011
「GBS-011」は腎性貧血治療薬であるダルベポエチンアルファ(商品名:ネスプ)のバイオシミラーで、共同開発先の三和化学研究所から2019年11月より販売が開始されており、同社は販売高に応じたロイヤリティ収入を得ている。同品目の製造は、韓国のDong-A STで行っており、同社は三和化学研究所の開発を支援する形式で共同開発に携わってきたため、ロイヤリティ率は低く収益へのインパクトそのものは大きくないと考えられる。

なお、2019年度のネスプの国内売上高はバイオセイムも含めて476億円(うち、バイオセイム140億円)で、BSの潜在市場規模※は約215億円と推計されるが、既に大半がバイオセイムに置き換わっており、バイオシミラー3社が獲得できる余地は限定的となっているが、ネスプの競合薬である中外製薬<4519>のミルセラのシェアを奪取しているようで、一定程度の売上増加は期待できる状況と言える(中外製薬のミルセラの売上高は2019年度の222億円から2020年度は154億円に減少する見込み)。ちなみに、同時期に販売を開始したJCRファーマ(株)の2020年度売上計画は約32億円となっている。

※潜在市場規模は先行品の約40%相当額として算出(先行品の売上高×バイオシミラー浸透率60%×先行品の薬価の70%)。バイオセイムをネスプの価格で割り戻して先行品の売上高を計算(140億円÷0.7)+336億円。


(2) GBS-007
「GBS-007」は加齢黄斑変性治療薬である抗VEGF抗体薬のラニビズマブ(商品名:ルセンティス)のバイオシミラーで、共同開発先の千寿製薬において進められていた第3相臨床試験が2020年2月に終了し、現在、データの収集・解析作業を行っている段階にあるものと想定される。今後、製造販売承認申請の準備が整い次第、当局への申請手続きへ進むであろう。当該バイオシミラーは同社の3つ目の上市品となり、2025年3月期頃の同社の黒字化に向け寄与するものと見込まれる。

国内の加齢黄斑変性治療薬としてはラニビズマブとアフリベルセプト(商品名:アイリーア)の2つの抗VEGF抗体薬が販売されており、ルセンティスの売上高は約250億円、アイリーアの売上高は約600億円となっている。このため、加齢黄斑変性治療薬のバイオシミラーの潜在総需要としては国内で約240億円(想定BS薬価ベース)、うちルセンティスの代替需要としては約70億円と弊社は試算している。両薬剤の違いは、投与期間がルセンティスで1ヶ月半程度なのに対して、アイリーアは2ヶ月程度とやや長いこと、患者によってそれぞれの薬剤の効果が異なること等が挙げられる。眼球注射で患者負担が大きいため、投与期間が長いアイリーアが選好されやすい。価格やルセンティスが約16万円、アイリーアが約13.7万円だが、バイオシミラーが承認されればこれらより安価に提供できることになる。

とは言え、2019年末に新たに販売承認されたノバルティス・ファーマのベオビュの動向がどのように影響を与えるかは留意しておく必要がある。価格は約14.2万円とラニビズマブBSよりも高くなるが、投与間隔は3ヶ月程度と2倍になるため、定期的に治療を行う患者にとっては安価になるためだ。このため、ルセンティスからの代替として需要は大きいものと見込める一方で、一部、ベオビュに需要が流れる可能性も否定できない。

また、海外市場での展開は2019年1月に中国のバイオベンチャーであるOcumension Therapeutics(以下、Ocumension)と中国、台湾における独占ライセンス契約を締結したことを発表している。今後は千寿製薬及びOcumensionと同社の3社で役割分担に応じて、原薬または製剤の供給、臨床試験等を行い、中国及び台湾での上市を目指すことになる。今回の契約締結により、同社と千寿製薬は、Ocumensionから契約一時金を受領し、今後は開発段階に応じた開発マイルストン収入並びに上市後の販売高に応じたロイヤリティを受領することになる。現状、Ocumensionによる臨床試験の開始・実施等についての具体的な公開情報はないものの、今後の動きに注目しておきたい。

なお、海外ではサムスン・バイオエピスがラニビズマブBSの第3相臨床試験を2019年に完了しており、バイオジェンが日本を含む世界主要国での販売権を2019年12月に獲得したことを発表している。日本市場への展開はまだ検討段階となっているが、状況次第で参入する可能性がある。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《ST》

 提供:フィスコ

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